一言で言えば、残念な負け方である。
まず、スタメンで大きな驚きがある。
と言えど、昨年からこのような悪い流れとなったときはシステム変更で空気を変える手法を取ってきた風間監督。
「サッカーはシステムでやるのではない」
川崎時代から良く聞かれる言葉だが、明らかに流れを断とうという意図は感じ取れるスタメンであった。
しかし中3日。
キャンプ・練習でも1度も試したことのないシステムをぶっつけ本番に近い形で、連敗ストップがかかるホーム瑞穂で好調「仙台」にぶつける。
GK ランゲラック
DF 畑尾・菅原・櫛引
MF 宮原・小林・長谷川・秋山
FW 和泉・深堀・青木
グランパス対策とも言える、ロングボールで裏を狙い続ける戦法に結果としては前半はシステム関係なく苦しめられた。
前半立ち上がりは落ち着いて入っているように感じたが、徐々にプレスの掛け方に連動性を失い、ボールを奪っても選手の距離感が離れているため、ボールロストを繰り返し、逆襲を受けるというこの数試合何度も見た悪い流れをこの前半でも露呈する。
そして前半23分。
左サイドでボールを回され、大きな展開から右サイドの裏を使われ、対応したのは畑尾。
これだけ大きく展開されると、グランパスの守備陣もスライドして対応せざる得なく、ここで宮原が畑尾が出たスペースを埋める。
結果ミスマッチが生まれる。
バランスを崩した守備陣は簡単に失点をする。
公式記録は石原の得点なのか、オウンゴールなのかはまだわからないが、完全に崩された失点となってしまった。
サポーター・選手共に悪い空気が流れる中、前半37分。
ボールを奪った和泉から、深堀へ縦パス。
ここで深堀がキープ、もしくは粘りを見せられればこの失点はなかったのではないかと考えるが、
あまりにも簡単にボールを失った。
深堀はこのボールに対して、準備が足りなかったと言わざる得ないだろう。
その後またしても大きな展開から、見事な西村のボレーで仙台が追加点。
このプレーの直後、グランパスは深堀に代えてジョーを投入する。
深堀スタメンでの危機感か、コンディションを上げたか、ジョーの前半数分でのプレーは開幕戦の衝撃を思い出させるものであり
後半に希望を抱き、ハーフタイムを迎える。
後半開始から、面白いように使われていたバイタルエリアにワシントンを投入。
同時に4‐3‐3のいつものシステムに変更をする。
グランパスは後半息を吹き返す。
ジョーというボールが収まるポイントをうまく使い、全体が押し上げられる。
開幕戦で見せた全体の連動性がこの後半序盤に見れる。
同時に仙台のラインも下がり続け、小林のクロスからジョーがさすが元セレソンと言える豪快なヘッドで追撃弾。
その後も仙台ディフェンスを面白いように下げ続け、チャンスを作るグランパス。
またワシントンの活躍も忘れてはいけないだろう。
中盤のフィルターとしてボールを狩り続け、チームの骨格は間違いなくワシントンとジョーが入り落ち着いた。
しかし、ショートコーナーから逆襲をくらい68分に失点をしてしまう。
青木が1度はボールを奪ったが、再度奪われたあのプレーは様々な意見があるだろう。
あそこで抜ければまた逆襲を狙える場面、しかし取られれば失点に直結するプレー。
サッカーは結果が全て。
であるのであれば、青木の選択したプレーは軽率であった。
しかし他に選択肢が少なかったことも事実である。
その前のプレーに話を戻せば、ショートコーナーをシュートでやり切れば・・・
青木が奪われたあとの戻る選手がもう少し早ければ・・・
ともかく自分達で掴みかけた流れを離してしまったグランパスに盛り返す力はなく、
89分にPKで1点を返すに留まり、終了のホイッスルを聞くこととなった。
しかし、後半の失点までに見せたプレーは今後に希望を感じたのではないか。
攻撃の形を取り戻しつつグランパス。
風間サッカーはショートパスにこだわり、ボールを保持し続けるサッカーだという声をよくお聞きする。
私の個人的見解は少し異なる。
選手の能力に合わせてプレーを考え、ボールを保持し続け得点をするサッカーであると考える。
ボールを保持し続けることに重点を置くと、この数節のように前線の迫力不足となる。
それを打開する策を見つけた今節の敗戦であったのではないかと見れる。
全ては中2日の鹿島戦で明らかとなる。