近況のお知らせです。
現在、新聞5紙で連載中の小説『未明の砦』、第394話より遂に最終章となる第4章に入ります。最初に連載が始まった「陸奥新報」では今月中旬になります。
『未明の砦』は、現代日本で起こったひとつの事件を中心に、非正規労働者の若者たちから所轄の警察官、エリート警察官僚、トップメーカーの企業人までさまざまな人物によって繰り広げられる群像劇です。
物語の幕開けはクリスマスシーズンの吉祥寺駅前。華やかに街が賑わう休日の午後、突然、四人の非正規労働者の若者たちが共謀罪の容疑者として追われる場面から始まります。2017年の国会で強行採決によって成立した「共謀罪」は、組織的に犯罪が計画されていると当局が見なせばそれだけで逮捕が可能となる法律で、その危うさから「現代の治安維持法」とも呼ばれています。なぜ若い四人がそんな罪状で、警察に追われる身となったのか。小説では、彼らが初めて共に過ごした真夏の房総半島の海辺で起きた出来事にさかのぼり、彼らを取り巻く多種多様な人物を描きながら、四人の若者たちの物語を追いかけていきます。
連載開始から一年余り。彼らのことを書ける紙数も残りわずかです。最終章で果たして彼らはどこに行き着くのか。どうぞお楽しみに。