2013年のミステリー10選 | 脚本家/小説家・太田愛のブログ

文芸評論家の西上心太さんが、2013年のミステリー10選に選んで下さいました。
(12月18日 毎日新聞夕刊)

太田愛   『幻夏』     (角川書店)
柚月裕子  『検事の死命』  (宝島社)
中山七里  『追憶の夜想曲』 (講談社)
雫井脩介  『検察側の罪人』 (文芸春秋)
長岡弘樹  『教場』       (小学館)
佐々木譲  『代官山コールドケース』 (文芸春秋)
大沢在昌  『海と月の迷路』  (毎日新聞社)
芦辺拓    『奇譚を売る店』  (光文社)
東野圭吾  『祈りの幕が下りる時』 (講談社)
蓮見恭子  『拝啓17歳の私』  (角川春樹事務所)

先日、WOWOWで録画しておいた『新米刑事モース オックスフォード事件簿』の「華麗なる賭け」を観た。本作は御存じ、コリン・デクスターのモース・シリーズに登場する、あの個性豊かなモース警部の若い頃の事件、という設定で描かれたオリジナルストーリーなのだが、冒頭からの謎の埋め込みと伏線の巡らせ方が見事。特に、終盤の謎解きから結びに至るまで一息で見せ切る大きなフレーズは圧巻。オペラアリアがモチーフのひとつとして登場するのだが、音楽の扱い方の巧みさは、1996年のスコット・ヒックス監督作品「シャイン」を彷彿させる。
新作が楽しみなシリーズだ。