杉崎シュンペーターです!
ちょっとずつ、ちょっとずつ春めいてきましたね。今回はそんな出会いと別れの季節のお話です。
高校卒業間近の僕は、就職や進学はせずにお笑い芸人になるためにまずは養成所費用や一人暮らし資金を貯めようと、フリーターになることを早い段階で決めていました。
最初は自動車整備の専門学校に行こうと思っていたのですが、中学時代からの友人に『資格とか取るのって逃げじゃねぇの?』と言われ、それもそうだなと思いフリーターになることを選びました。
今考えると資格を持ってたらそれはそれで車好き芸人とか整備士芸人とかキャラになって仕事に繋がる可能性もあるので、友人を恨んでますが。(今も仲良しです)
そんなこんなで大学受験を控える周りの友人達を横目にブラブラしていた僕に、白羽の矢がストンと飛んできました。クラスメイトに『卒業旅行を企画してくれ』と頼まれたのです。
暇だった僕は二つ返事で『良いよ~』と答えました。そしてどうせなら大規模にしようと思い、第三学年の全6クラス、全ての人に声を掛けました。
三年間、話したこともない同級生にも声を掛けまくって結果的に43人(男22女21)集まりました。
卒業旅行というよりツアーです。
そこからツアーコンダクターとしての仕事が始まりました。学校帰りに制服姿のまま駅前の旅行会社により、宿泊場所や移動手段の決定や値段交渉などを何度も重ね僕自身、納得の行くツアーが完成しました。
ツアー内容は
初日は地元の神奈川県の藤沢駅に集合して、貸切バスで山梨県の富士緑の休暇村(朝夕食事付き)にチェックイン、二日目は朝から晩まで富士急ハイランドで遊びまくる。三日目は帰り道に相模湖に寄って昼御飯を食べてから遊覧船に乗り、藤沢駅で解散する。
これでお値段なんと二万円。安くないですか?二泊三日、行き帰りの貸切バス、富士急ハイランドのフリーパス、三日目の昼御飯と遊覧船、全て込みで二万円でした。
旅行会社の方が高校生の卒業旅行と言うことでかなり値段交渉を頑張ってくれたようです。
なので本当に最高の卒業旅行になりました。話したこともなかった同級生とも仲良くなれました。高1の時にちょっとした行き違いで話すことが無くなっていた友人とも久しぶりに話すことが出来ました。同級生の女の子の浴衣姿に興奮を覚えました。
最後、藤沢駅に着いて僕が『参加してくれてありがとう!十年後また皆で旅行しよう!それじゃあ解散!』と言ってもみんな帰らないんです。一時間も二時間も帰らないんです。みんなきっと分かってたんです。18歳だったけど分かってたんです。もう皆で旅行には行けないって。だから名残惜しんで帰らなかったんです。
11年経った今、やっぱり旅行には行きませんでした。そればかりか10年後だった去年、その事を思い出しもしませんでした。日々の忙しさや、今の幸せや不幸せにばかり目が行き、昔のちょっとした約束なんて忘れてしまってました。
なんで思い出したのかって言うと下北沢で公演の宣伝活動をしていて話を聞いてくれた若い子達数人のグループが卒業旅行で地方から東京に来たと言っていたからです。
遅くなりましたが、昨日のグレアムボックス公演『笑えない方向から来た男』を観に来て下さった方々、ありがとうございました。
まだ観てないよって方は本日も15時半の回と19時半の回がありますので良ければ観に来て下さい。
最後に卒業旅行の写真を一枚。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160329/09/grahambox/e9/02/j/o0720096013605005083.jpg?caw=800)