街灯の少ない静かな町だった。
遠くから
硝子の箱をぼんやり眺めていた。
中にはご年配の男性が居た。
受話器を持って
誰かと話しをしていた。
近づくに連れ凝視したけど
表情は読み取れなかった。
硝子の箱の前には
無数の空き缶が入った大きな袋が2つ
彼の三種の神器のようなちゃりんこに
『本日の成果』 というように誇らしく
積まれていた。
少し離れていたけど横位置あたりで停車し
眼の前のシグナルが変わるまで
その光景をみつめていた。
程なくして 硝子の箱からこちらを向いて出てきた彼は
心做しか表情が綻んでいたようだった。
硝子の箱の前に止めていた彼の愛玩toyに跨り
ゆっくりと漕いで左に曲がって行った。
j もシグナルに従って愛玩toyを走らせた。
彼とは違う道を右に曲がって進んだ。
21時を少し過ぎた頃に見掛けた この光景が
何故か j の心を温めていた。
もしかしたら
借金の返済という用件だったのかも
知れないけれど
そうじゃないような気がした。
どことなくだけど。
なんとなくだけど。
彼の綻んでいた表情が
そう物語っていたようだった。
国際電話もデータ端末も可能な硝子の箱の中で
彼には電話を掛ける相手が居た。
それが j には無性に嬉しかった。
人は皆
たったひとりで此の世に産み落とされ
たったひとりで天に召される。
これは j のおうちの定説。
彼に電話を掛けるお相手が居た。
そのことが j を
仄仄とさせてくれた。
ほのぼのと
させてくれた。
今宵
あまり寒くなければいいのに・・・。
明日もたくさんの空き缶が
彼の眼の前に落ちていますように・・・。
美味しいお食事と
僅かでも
【お喋り】という娯楽を味わえますように・・・。
どんな王様にも財産家にも味わえない
j のちょこれーと。を
がんばってる貴方に・・・。
出逢いに感謝しています。