サチ捕獲作戦実行日<前半>
昨日夜遅くに出張から戻ると3階建ての猫用ケージ、サチの新居を
夫が組み立てておいてくれた。
捕獲器はないので、てつのキャリーケースを借りる。
入り口に、1.5mくらいの長さでビニールひもを結び、
サチが入ったら強くひもを引くという動作を何度か練習をしてみた。
てつはその様子を不思議そうに見ていた。
9月20日土曜日 ついにこの日が来た。
失敗は許されない。一度失敗すると成功は難しいとAIも言っていた。
あいにくの雨。園芸用の手袋をしてキャリケースをもって、サチに近づく。
キャリーケースの扉を開けひもをそっと伸ばし、子猫用のキャットフードをいちばん奥に配置する。
1.5mほど離れて、ひもをしっかりと握りしめ、サチを待つ。
そうするとモウちゃんが近づいてきたので、違うよと促して離れてもらう。素直に従うモウちゃん、ありがとう。
ゆっくりとサチが近づいてくる。周りをきょろきょろ見渡して警戒している。
今日の実行を前に、何度かキャリーケースの中でご飯を食べてもらっていた経験がプラスに働いている。
顔半分が入り、やがて体も入る。においを嗅ぎながらゆっくりと一歩一歩。最後にしっぽが入ったのを
確認してひもを強く引く。本当は静かに素早く引かなくていけないところ、私は緊張して気持ちが焦り
扉を閉める音が響くほど、騒々しくひもを引き、扉を完全にロックするために入口に近づいた。
激しく抵抗するサチ、プラスチックのキャリーケースが割れるのでないかと思うくらいに
身体全体を使って暴れる。ケースの上にバスタオルをかけて落ち着かせようとするが、聞いたことがないくらい
低い力強い声で鳴き抵抗をする。
予報通りの雨が音がしとしと降ってくる。
動物病院へ行く準備のため、私は一旦家に入る。
2階のベランダから、キャリーケースを見るとプラスチックを蹴る音が響いている。
急いで下に降り、キャリーケースを平行にして持つが、けっこう難しい。
キャリーが揺れるたびに、サチもバタバタと右往左往。
車の後部座席の足元に静かに置く。
ナビに動物病院の住所を入力する。てつがお世話になっている病院だが、いつも夫が連れて行くので
私は初めて。それもあってとても緊張する。
ハンドルを握り、アクセルを踏みながら、緊張と不安でいっぱいになる。
サチがケースの中で暴れだす、こらえていた不安が一気に押し寄せ、ついに涙があふれだす。
サチが暴れる振動が伝わり、ハンドルを持つ手が震えだす。
必死に抵抗する小さな猫、小さな命。
私は何をしているのだろうか?
私がしていることは正しいのだろうか?
