自分が癌だということを周りの人にオープンにする人はどのくらいの割合なんだろう。
私はできることなら誰にも知られたくいクチだ。
もともと人に弱みを見せることが苦手な性格ということもあるが、過去に苦い思い出があったせいもある。
20年ほど前、父が脳梗塞で倒れたことがあった。梗塞の起きた場所が左脳だったせいで、運動障害ではなく、失語症という後遺症が残った。
例えば、新聞を指して新聞(しんぶん)と言えず、新宿(しんじゅく)と言ってしまうような症状だ。
そのことを友人に話したところ、彼女はいとも簡単に、こう言った。
「あ、失語症って一生治らないんだよね。お父さんが言ってた」
ちなみに彼女の父親は心臓外科医。脳の専門ではないが医師であるから、一般の人の言葉より重いコメントである。
当然、同じ場にいた他の友人たちも、「そうなの〜?」という空気になった。
確かに、父も主治医には回復は難しいだろうと言われていた。が、それでもこれから言語聴覚士とともにリハビリに励もうとしているところだったから、その友人の言葉には本当に傷ついたし、悔しかった。
この苦い経験から、人に自分のネガティブな情報を話してもロクなことはない、と学習した。
私が癌であることを人に伝えて、知ったようなことを言われるのもイヤだし、同情されるのもイヤだし、なにより、その人にとって私のイメージが“癌患者“になってしまうのがイヤだった。
こんな理由から、当初は誰にも病名は伝えないことにしました。のちに何人かには伝えることになるのだが、それはまた後に書きます。
ちなみに父はその後リハビリの成果があり、数ヶ月で生活に支障のないまでに回復し仕事復帰、20年後の今ではほぼ元のとおりになっている。
医師の言うネガティブな話は、責任問題に発展するのを恐れての場合もあるので、どういう状況でも希望は捨てずに頑張るのが吉ですね。これも過去からの経験^_^