続きです。
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最初の龍が居なくなってから
ひと月ほど経った頃だったかな。



私は
奈良の神社に行った。




その帰り道、
空に1匹の龍が視えた。



ギョロっとこちらを見て
「お前、面白そうだな」と言った。



私は2匹目の龍の登場に驚きつつも
嬉しくもあった。




しかし2匹目の龍は
1匹目の龍とは全然違い、
本当に偉そうで粗暴な性格だった。




確かに龍の特徴である
スピード感はありそうだ。



しかしその分
四六時中せっついてくるのだ。




止まったら死ぬんか、くらいの勢いで
早く何か行動を起こせ、と
ギャーギャーうるさかった。




相変わらず絵を描けないでいる私に
なぜ何もしないのだ、と
よく怒っていた。



わかってる。

何も出来ないことに
誰よりも苦しんでるのは私だ。




働けるようになりたいし
早くお金を稼いで、貯めて
離婚したい。




だけど体が言うことを聞かないし
心だってついてこないのだ。




心身共に疲弊しきってる私に
この龍は合わなかった。




2匹目の龍があまりにもうるさいので

「私には私のペースがある!
私だって動きたい!
でも辛くて動けないんだ!
どうしていいかわからないんだ!」

と反論すると

龍は烈火のごとく怒り、
色々暴言を吐いて
私の元から去った。




1匹目の龍のような優しさは
欠片もなかった龍なので

いなくなって清々したくらいだった。




この経験から

龍って優しいのしか居ない
思い込んでたけど
あんな粗暴な性格の奴もいるんか……


《見えない生き物》=《清い存在》
《みんな優しい》
とは限らないんだな……

ということを学んだ。






そうして月日がたち、

次は
京都のお寺に行った時のことだ。




お寺の敷地内には
神社があり、
恋愛成就で有名らしい。




神社の奥に
丑の刻参りの釘の跡が残っている樹があり、
その傍らには小さな祠。



白蛇を祀ってる
と書いてあったが

「わ、怖い」と感じたので
私は近寄らないでいた。




樹にまとわりついてる
《女の怨み》が残ってるようで
怖かったのだ。




私はそこは近寄らずに帰った。




帰りの電車で座っていると
体が痛くなった。




なぜか体が勝手に動くのだ。



上半身だけが
左に向いていく。



まるで雑巾のように
ひねりあげられてる。



気のせいかな……と思ったので
どこまで左にひねられるのか
身を委ねてみたら

限界のところまでひねられ

あれ、コレ私
締め上げられてるな、
確実に真顔

と確信した。




太い縄のようなもので
体を締め上げられてる、
そんな体感だったのだ。




その数日後、
夜中に急に怖くなり、
脂汗が吹き出した。



何か、いる。



怖くて怖くて、
1ミリも動けない。




真冬だというのに
パジャマは脂汗でビチャビチャになった。




怖い。


何?


何がいるんだ?



感覚を研ぎ澄ませて
感じとってみると

白い大蛇がいたのだ。





恐ろしい顔をして
私を睨んでいた。




私は大慌てで部屋を飛び出した。