昔
職場で良くしてくれた先輩が、
人って本当に悲しいどん底を経験した後って、
不思議なことに、些細なことでも
腹を抱えて笑い転げるんだよ
って話をしてくれました。
この話の真意はなんだったのか、
私ってば忘れてしまったのですが
すごく印象に残っている話でした。
ルアナが生きているうちにあったこと、
まだ書いていないことがあった。
ルアナが麻酔からいったんは目覚めましたが、
翌日の痙攣発作で昏睡状態となり。
面会に行った入院2日目の夜。
良くなる兆しなどまったくなくて、
お別れが迫っているようで
絶望的で、
家族みんなが悲しみのどん底だった帰りの車。
人生初の検問にひっかかったのです。
後から知った話、
近県で大きな事件が起きていて、
犯人たちが乗った車がこちら県に逃げたようで、
そのための検問だったらしいのですが。
真っ暗の中、
警察のライトが車内を照らして、
入念に荷物をチェックしてました。
次に、運転していたパパに
お酒は飲んでないですね?
と警察官
もちろんです、と即答のパパ
てかよ、警察官さま、
我々は悲しみと失意のどん底でして
直前に起こっていることを
逆に話してやりたいよと後部座席で思いながら
見ていましたら。
じゃあ ハーってやってもらえます?
え?ハーってですか?今ですか?
はい、僕にハーってやってみてください
言われるがままに警察官の鼻めがけてハーっと
息を吐き出したパパ
えっ!?
いーちゃんとママは目が点
ホントに警察官!?
雑過ぎるだろー
てか、アルコール検知器くらいもってこいやー
パパも正気なわけ!?
大の男が2人
顔を近づけ合って吐息を吹きかけるって
どんなプレイなん。
誰から噴き出したか忘れたけれど、
車内で大爆笑
笑いながら
涙まで出てきて泣きながら
ひとしきり腹を抱えて笑ったら、
ルアナのこと。
しょうがない、なるようにしかならないよ
と思えたのです。
その翌日にルアナは息を引きとりました。
会えなくなって2年。
20年会っていないような気がします。