2023年8月26日(土)雪組全国ツアー『愛するには短すぎる/ジュエル・ド・パリ!!』大阪公演(梅田芸術劇場メインホール)を観て参りました。

 

『愛するには短すぎる』は正塚晴彦先生の作品。

THE 正塚作品ですなぁ~!

 

男同士の友情

上流社会

自力で踏ん張る女性

 

…と、正塚作品に頻出する要素が詰め込まれていました。

 

豪華客船という、海上の密室。

4日間という航海期間。

限られた時間と空間で起こる事件。

 

まず、この設定が良いですよね。

ミステリやサスペンスタッチのお話が得意な正塚先生らしい。

 

主人公(彩風咲奈)は真面目で、親友が適当。

タイプの違いで笑いを取る。

 

恋愛も含まれますが、必ずしもそれがメインでもなく。

フレッド(彩風咲奈)とバーバラ(夢白あや)それぞれの背景や生き様が描かれています。

 

積み重ねてきたものを背負っていく責任と覚悟。

その狭間で生まれたトキメキ。

 

簡単に現実を放棄しない真面目な二人の出会い(再会)だからこそ、切なさが本物になるのでしょう。

 

本作は、ヒロインと二番手の人気を上げやすそうな話でもあります。

 

ヒロイン・バーバラ(夢白あや)は乗客ではありません。

船内のショーに出演する歌姫であり、ダンサー。

 

元々は女優志願のバーバラ夢白。

母親の具合が悪く、今回の公演を最後に故郷へ帰る予定。

 

主人公・フレッド(彩風咲奈)は留学を終え、帰国途上の船。

帰国後は、親の会社を継ぐ予定。

本人の与り知らぬところで、婚約も決まりました。

 

…というと、恵まれたボンボンに見えますが。

結構シリアスな身の上のフレッド彩風。

 

孤児だった主人公を引き取り、育ててくれた養親。

養親の会社は火の車で、建て直しが必要。

その為にも、うってつけの婚約者。

 

ヒロインも主人公もそれぞれ「己の気持ち」だけで動けない状況。

 

そして何かしら我慢したり、折り合いをつけている人の方が多い現実。

 

だからこそ、全てを振り切る決断に爽快感や憧れを抱く人もいるだろうと思います。

 

とはいえ、ファンタジーが過ぎると感じる人もいるでしょう。

 

落としどころをどうつけるか、脚本・演出の腕の見せ所ですよね。

 

 

そんな中で、自由に生きてる親友アンソニー(朝美絢)

 

真面目なフレッド(彩風)

適当なアンソニー(朝美)

 

二人の持ち味の違いが、台詞の掛け合いで笑いを誘います。

 

バーバラ(夢白あや)の窮地を救い、そのツケはフレッド(彩風)に払わせる美味しいトコ取りとか、最高か。

 

自分が出来ない事は、他人に頼ってもいいんですよ。

真面目に生きてて行き詰まった方は、アンソニーを見習うといいかも。

 

押し付けられる方は溜まったもんじゃないですけどね。

…というか、押しつけられて「なぜ私が?」と思いつつ、誰かの尻拭いをしてきたから辛いんですよね。

 

押しつけ返したれ!…ですよ。

 

こんないい加減でも、アンソニー朝美は飄々と生きてます。

フレッド彩風もプンスカ怒りつつ、友達でい続けています。

 

マジメすぎて生きづらい人は、アンソニーを見習う位でちょうど良いかもしれません。

 

正塚作品には、アンソニーみたいな人物がちょこちょこ出てきます。

 

他者の顔色は気にせず、自分ファーストで生きてる。

 

観てて面白いってのもありますが、「もっと楽に生きてもいいんだよ」と、役を通して語り掛けられてるようですね。

 

フレッドとアンソニーのやり取りは、笑いに溢れます。

わちゃわちゃしてるだけでも和みますしね。

 

『メランコリック・ジゴロ』のダニエルとスタンのよう。

 

正塚先生は男同士の友情、バディ感溢れる応酬、ほんまお得意ですよね。

 

 

加えて、執事のブランドン(凛城きら)

めっちゃええキャラです。

 

未沙のえるの血統と申しましょうか。

りんきらさんといい、まゆぽん(輝月ゆうま)といい、いい味だしてくれます。

 

個性もありつつ、それを役として生かしてる。

出て来ただけでワクワクさせてくれます。

(また笑わせてくれるのね、という期待感)

 

でも、主役はじめ、他の人の邪魔はしない。

そういった匙加減も含め、拍手。

 

 

休演者が出て、玉突き代役もありました。

そこらへん、少なくとも観てる分には影響なし。

観た人は、最初からその役だったと思うことでしょう。

 

 

宝塚が誇る歌姫・美穂圭子。

今回、ショーだけの出演。

 

「芝居だけ出演」の専科さんは多いけど、逆なんですね。

良いと思います、美穂さん最大の武器は歌なので。

 

 

全国ツアーゆえ、「ご当地出身者の紹介」があります。

 

副組長(かずき透真)に代わり、真那春人が紹介。

大阪出身者に絞ってましたが、人数が多くてびっくり。

次々、いろんな生徒さんが呼ばれてました。

 

(昨年の花組全国ツアーでは少なくて驚きました)

(多くても、少なくても驚くわたし)

(どっちやねん?)

 

7名の大阪府出身者が。

うち男役は1名のみ。

 

続々、名前を呼ばれるたびに元気よく「はい!」

 

星沢ありさ(108期・研2)豊中市

風立にき(107期・研3)豊中市

愛空みなみ(105期・研5)池田市

愛羽あやね(103期・研7)大阪市

琴羽りり(101期・研9)大阪市

沙羅アンナ(97期・研13)大阪市

美穂圭子(専科)茨木市

 

美穂さんが両手で口元を抑え、照れながら首を傾げてお辞儀する様子が可愛らしくて。

ひときわ大きな拍手が沸きました。

 

惜しむらくは、出身者のコメントがなかったこと。

 

月組や花組は、ご当地出身者がそれぞれの地で一人ずつコメントしてたので。

 

月組の大阪出身者は、毎公演ごとにテーマを決めてコメント。

しかも、オチ付き。

涼しげにサラッと面白い。

 

綺麗な人がサラッとオチつけて話す威力。

すごかった…!

 

ご当地ジェンヌの挨拶を完全収録したBlu-rayを出してほしいと本気で思ったものです。

(今からでも出してほしいくらいだよ)

 

…と、話を雪組に戻しましょう。

 

故郷で錦を飾る機会ですし、ジェンヌさんが舞台上で話す貴重な機会。

 

雪組全国ツアーでも、採り入れてほしかったな。

人数が多くて、できなかったのかな。

ムムム、残念。

 

 

大阪といえば、治安など怖いイメージを持つ人も多いかもしれません。

 

…が、豊中、池田、茨木はいわゆる文教区。

子育て世代には特に人気が高い地域かと。

池田は、小林一三翁の記念館もありますね。

 

大阪市内は広域なので、一概にいえません。

 

超高級住宅街もあれば、日本一のドヤ街もあります。

朝っぱらから居酒屋が開業してる地域もあります。

(夜勤明け対応なんでしょうね)

 

…かと思えば、昭和初期の香り漂うレトロな街並や、ヨーロッパのような風情の一角もあり。

 

振り幅が広く、懐が深い。

どんな人も受け容れる土地柄なのかな。

 

彩風さんの挨拶が大阪弁!

そこも嬉しかったなぁ。

 

 

彩風「大阪、あっついなぁ~!」

 

…みたいな感じ?

気温とノリを重ねた感じ?

 

ジェンヌさんは耳が良い人が多いのか、関西弁も違和感なく話されますね。

関西弁は半音の上がり下がりが難しく、不自然な発音になりがちなのに。

すごいなぁ。

 

感想が書き切れてませんが、ひとまずこれにて。

 

 

▽ 大阪サイコーやで♡

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