名古屋・御園座で上演した月組『赤と黒』の感想つづきです。

前回の感想はこんな感じ。

あれから、大分日にちが経ちました。
コロナウイルス感染抑止のため、上演期間短縮となり、2月28日(金)が千秋楽となりました。

ライブビューイングが2月29日(土)の予定でした。
また、この日はBlu-ray収録日でもありました。

Blu-ray用映像は前倒しで、2月28日に収録されたそう。ホッ。

スタンダールの『赤と黒』と『恋愛論』を読んだのは、高校生の頃… 15歳位でしたか。

「恋愛って……虚しい」
そんな感想を抱いた記憶があります。
 15歳にして枯れてたのね、私。 

そういえば、「将来は山奥で庵を結び、ひっそり暮らしたい」と思ってました、小学3年生にして。
8歳から枯れてたのね、私。

『赤と黒』と『恋愛論』は呼応しているので、興味がある方はお読みになってみても良いかと。

今回、柴田侑宏先生の脚色・演出で『赤と黒』は人間のサガや哀しさ、嫉妬や葛藤。色香やトキメキ…様々な感情が淀みなく流れています。

『赤と黒』にときめく日が来ようとは。
 15歳の私に教えたい。
「ちょっとそれ、宝塚の舞台で観てごらん?」…と。

私自身は今も枯れてますが、御園座でひととき、心に潤いのお裾分けを頂きました。
ごっつぁんです!!(関取か?)

それでは、第一幕の感想つづきから始めます。


★第7場

レナール家は避暑地・ヴェルジーの別荘に出掛けます。
家庭教師のジュリアン(珠城りょう)も同行。

下手寄りでベンチに腰掛け、レナール家の三兄弟に本を読み聞かせるジュリアン。

珠城ジュリアンの隣にちょこんと座る、末っ子のスタニスラス(白河りり)
その両脇に三角座りの長男アドルフ(夏風季々)、次男ミリアム(美海そら)
3人とも可愛い〜〜♡♡♡

夜9時になり、子供たちに寝むよう促す珠城ジュリアン。

舞台中央には、テラスに椅子とテーブル。
そこで、レナール夫人・ルイーズ(美園さくら)と友人のデルヴィール夫人(晴音アキ)が寛いでおしゃべり。

「おば様、おやすみなさい」
「お母さま、おやすみなさい」

子供たちは礼儀正しくご挨拶。
可愛いぜ、子供たち♡

メイドのエリザ(きよら羽龍)からジュリアンとの仲を取り持ってほしい、と頼まれていたルイーズ(美園さくら)

エリザ羽龍は叔母の遺産を相続し、それを持参金にジュリアンに嫁ぎたいと申し出ますが、あっさりフラレたのでした。

複雑な思いを抱えながら、エリザに頼まれた旨をジュリアンに伝えます。

野心家のジュリアンにとって、使用人との縁談を勧められるなど、低く見られたようなもの。

頭に来たジュリアン珠城は、美園ルイーズを誘惑します。

抱きしめて、耳許で「ルイーズ」と囁くジュリアン。
いつもは「奥様」と呼んでるくせに、反則ーー!!
ルイーズ、腰砕け。

離れてから、「おやすみなさい、奥様」
ギャップ持たせてのダメ男しか…!

ルイーズ「今夜は眠れないわ」

ジュリアン「これで、今夜はぐっすり眠れる」

おいおーーーい!!

……と、余裕かましてるのも束の間、珠城ジュリアンは美園ルイーズと燃えるような恋に落ちていきます…。


★第8場

エリザ羽龍は、ジュリアン珠城とルイーズ美園のただならぬ様子に気づきます。
そこで、己に惚れてるサン・ジャン(大楠てら)を利用します…。
こえぇなぁ…。

一方、ジュリアン珠城とルイーズ美園は道ならぬ関係に深入りしていきます。
カウチに座るルイーズ美園を求めるジュリアン珠城。

このシーンは美しくも官能的。
上質なエロティシズムが幻想的に描かれています。

不倫を単純に断罪せず、美しく艶かしい様を目の当たりにする事で「…あぁ、それは…よろめくよね…」と納得させてしまう。

まさしく、美は正義。
美しさは罪。
どっちやねん?!


★第9場

エリザ羽龍がヴァルノ(千海華蘭)に、彼のライバル・レナール(輝月ゆうま)の妻と家庭教師の不倫を密告。
ヴァルノ千海は大喜び。
エリザ羽龍に好条件での雇用を約束し、スパイを続行させます。


★第10場

今日も今日とて、元気いっぱいのレナール三兄弟…と思いきや、末っ子のスタニスラス(白河りり)足取りが重い。
具合が悪いのか?…と、額に手をやる珠城ジュリアンの手をはねのけ、「大丈夫!」と強がるスタニスラス。

具合悪そうなんだけど、必死で隠すスタニスラス白河。
この演技がとてもリアルでした。

いかにもダルそう…じゃなくて。
ぼんやり注意散漫…という風情。
「あれ? いつもと違うな?」…という感じなんですね。
うっかり見逃しそうなほど自然。
さじ加減が絶妙なスタニスラス白河でした。

さて、大人の事情に目を向けましょう。

デルヴィール夫人(晴音アキ)は恋する乙女となったルイーズ美園を心配して忠告します。
良き友をお持ちだ、ルイーズ。

しかしながら、時すでに遅し。
レナール輝月に、妻と家庭教師の不倫を密告する投げ入れ文をシャラッと渡すエリザ羽龍。

不倫は露顕し、ジュリアン珠城とルイーズ美園は引き裂かれます。

「スタニスラスがお熱を出した!ママ、早く来て!!」

子供たちが母を呼ぶ声に、子供達の元へ早く!と促すジュリアン。
後ろ髪を引かれながら、子どもの元へ向かうルイーズ。

熱くも短い恋はあっけない幕切れを迎えました。

…子供たちを連れて、ルイーズと駆け落ちできたら良いのに…なんて夢想してみたり。
そうはいかないよね、生活があるものね。
現実的な己が憎い。


★第11場、12場

神学校へ入り、勉学に励むジュリアン珠城。
ですが、レナール夫人(美園さくら)の幻が現れて…。

神学校のシーンでは、幻の女達が登場し、神学生たちと見事なデュエットダンスを披露。

リフトやホールドがある、濃密なデュエダン。
若い神学生たちの煩悩とリビドーの現れを、幻想的なデュエットダンスで表現。

レナール家の息子たちの内、長男(夏風季々)と三男(白河りり)が幻の女として登場。
すばやい性転換っぷりでした。

すらりとした空城くんとりりちゃんが組んでいました。
体格差萌え・その1でした。

りりちゃんは本作で何名かの男役さんと組んで踊りますが、どの男役さんとも体格差に萌えました。

ジュリアン珠城は優秀なのに、試験の結果はなぜか悪い。
それは、ジュリアンの庇護者・ピラール神父(夏美よう)と敵対する派閥の差し金のせいでした。

「パリで ラ・モール侯爵(一樹千尋)の秘書にならないか?」と就職先を斡旋するピラール神父。
大喜びで、その話に乗るジュリアン珠城。

ジュリアンを訪ねて、親友フーケ(月城かなと)がやって来る。

「何度トライしても取り次いでもらえなかったが、袖の下(金貨)を渡したら、すぐ通してくれた」

「一緒に商売しよう。俺たちは材木屋の息子だ。材木で稼ごう」

親身になってくれる月城フーケの誘いを断るジュリアン珠城。

月城フーケは「気が向いたら、いつでも来いよ」と、どこまでも温かい。

この時、門番(瑠皇りあ)が何度も「時間です」と呼びに来る。
その度、フーケ月城が金貨を渡す。
観客席に笑いが沸きます。

あまりにも頻繁に呼びに来るため、しまいには金貨を遠く高く投げ上げる。
瑠皇りあ君、慌てて金貨を追いかけ、ナイスキャッチ!

観客席からひときわ大きな笑いが沸きました。

ジュリアンは意気揚々、いざ鎌倉!…じゃなくて、パリへ!!

…と、ここまでが第一幕でした。
第二幕へ続きます。

▽長くてごめんね
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