2019年6月9日(日)月組『夢現無双/クルンテープ~天使の都~』東京千秋楽が閉幕。
予想以上に感じる事が増えた公演でした。

新トップコンビ(珠城りょう&美園さくら)大劇場お披露目公演。
2番手男役スター美弥るりか(89期・研17)退団公演。
3番手男役スター月城かなと(95期・研11)の怪我による休演。

スクリーンを通して一回観た限りの感想ですが、急な代役公演について触れたいと思います。

月城かなと休演にあたり、芝居の代役を演じたのは風間柚乃(100期・研6)でした。

芝居『夢現無双』で月城が演じた役は、主人公・宮本武蔵の幼馴染(本位田又八)
新人公演では、英かおと(99期・研7)が好演。

風間くんは本公演での自分の役(宍戸梅軒)、新人公演の主役(宮本武蔵)に加え、月城さんの代役(本位田又八)を演じました。

科白や動きが混同しないかしら?
…しないんでしょうね。

路線スターのピンチヒッターを任される事は、期待の証。
風間柚乃なら、しっかりこなせそうな気がしていました…が。

千秋楽ライブビューイングで観て、予想を超えた健闘ぶりに驚きました。

オープニングで、武蔵(珠城りょう)と共に登場する場面。
W武蔵?!…と錯覚する鋭い眼光、メラメラした熱感。
珠城さんも風間くんも、戦場で死線に立つサムライでした。

その後はちゃんと「ちょっと情けない又八」を演じていましたが。
お調子者で憎めない味わいを出してました。

驚いたのはビジュアル・発声・台詞回しなど、月城さんに寄せまくっていた事。
(オープニングは武蔵ちっくだったのに)

伊吹山でお甲(白雪さち花)とデレデレしてる場など、
「…月城さん、千秋楽だけ復帰したの?」
…と真剣に混乱しました。

歌唱も堂々としたもの。
落ち着いた低音も、元気な声も出せますし。

有難いことに、私は風間くんのソロ歌唱を聴く機会に恵まれてきました。
『エリザベート』の皇太子ルドルフ役や、新人公演などで。

確実に歌唱力の上達を感じます。
いわゆる「歌ウマ」とは違うんですが。
「役として歌う」タイプだと感じました。

エリザベート(皇太子ルドルフ)は暁千星と役替わりだったので、従来のルドルフと異なる解釈が新鮮だった印象があります。

風間ルドルフは死なないよ。
革命起こして、失敗して投獄されても、脱獄して巻き返す強さを感じます。

でも、それは『エリザベート』のルドルフとしては少し違う気もして。
印象に残るという意味では、凄かったけど。

今回の代役も、自分なりの又八を創ってくるかと思いきや、月城又八の忠実なトレース。

よくまぁ、ここまで似せたな…と。
又八を演じるにあたり、本役(月城かなと)に似せる事を第一義にしたのかな…と。

正直、意外でした。
風間くんは、荒削りにざっくり掴む系だと思ってただけに。
それが持ち味だと思っていました。

実際、風間柚乃は「武骨さ」を自然と醸し出せる稀有なタカラジェンヌ。
その持ち味は、新公で武蔵を演じるにあたり、プラスに働いていました。

代演にあたり、月城かなとの又八への観察眼となぞり方に、今までにない繊細さを感じました。

観るたびに「出来上がってる感」を感じる風間くんですが、まだまだ発展途上なんですね。
成長していればこそ、出来上がってるように見えるのか…。

今後さらに幅広い表現を求められるでしょう。
成長が楽しみな男役さんです。


▽叔母様(故・夏目雅子)のネームバリューは不要になりつつありますね。
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