2018年9月11日(火)は月組『エリザベート』新人公演(宝塚大劇場)感想つづき。


★皇后エリザベート:美園さくら(99期・研6)

冒頭、かなり緊張していた さくらちゃん。
歌声がいつもと違って聴こえました。
少女時代だったから、歌い方変えてるのかな?…とも思ったけど、緊張ゆえだろうと。

場を重ねる毎に、『いつもの歌姫・さくら』に。
どんどん錬れてきて、オープニングとエンディングでは別人のよう。
老け演技も、無理なく自然にこなしていました。

さくらちゃんは、もっと力強いエリザベートを表現するかと思いきや、不安や弱さに苛まれるシシィ像が印象的。

脆さや危うさを秘めた暁トートとのバランスは良好。
薄いガラスの上を歩んでいくような、シシィとトート。

暁千星と美園さくらは、身長差・骨格・顔の輪郭など、向き合った時のフォルムのバランスも合っていました。

プレッシャーに押し潰されそうになりながら、己自身に抗う姿がエリザベートと重なった美園さくら。

何でも上手にこなす印象があったから、意外でもありました。

舞台で演じる姿を観ていると、惹き込まれていく、さくさく。
今後がますます楽しみです。


★皇帝フランツ・ヨーゼフ:輝生かなで(99期・研6)

輝生くんは『Arkadia』『カンパニー』『愛聖女』と立て続けにスタイリッシュなイケメン役が続きました。
実際、ジャニーズと韓流のいいとこ取りした系統のアイドル系イケメン。

エリザベート新公では、我慢役といわれるフランツ・ヨーゼフに挑戦。
今回も、「若いハンサムな皇帝」というビジュアルはクリア。

ただ、様々な気持ちを押し殺して苦悩したり、対峙する相手(ゾフィ、シシィ、ルドルフ、マデレーネ等)の感情や演技を受ける芝居となり、表現が単調になりがち。
また、経年変化の幅が広く、年齢や経験の変化を表現しなければなりません。

高い、高いハードルだと思います。
そして、そういう高いハードルに向かう事そのものが、新人公演の本来の意義だと思います。

輝生くんからは本来の持ち味を抑え、表現の幅を広げる機会となり、試行錯誤が滲み出ていました。
巧拙よりも、立ち向かう姿勢を評価したい。

課題は歌だと思います。
声量はあって、声はよく出ています。
技術的な面を学び、コツを掴めば、上達するのではないでしょうか。


★暗殺者ルイジ・ルキーニ:風間柚乃(100期・研5)

風間くん、ものすごくルキーニが似合う…!
ビジュアルも含め、ほぼ完璧にモノにしていました。

発声や声の高さなど、ルキーニのイメージに合ってます。
声量豊かな、よく通る良い声。
歌声も伸びやかで、耳に心地よい。

始終、大きな目をぐりぐりさせて、ちょっとイッちゃってる感がこぼれ出てました。
黒塗りもヒゲも似合ってて、精悍な男前。
のびのび演じていたし、殻をバリバリ破り、表現の枠を一気に広げた気がしました。

風間くんは正統派ヒーローが似合うけれど、本人的にクセのある役をしてみたかったのかな?
役にハマってるし、風間くん自身も役になり切り、楽しんでる気がしました。

いずれ、主演の機会が増えていく人だろうし、脇役だからこそ出来る経験をどんどん積み重ねたら良いと思います

ミルクの場では、銀橋に出て大コーラスを歌い上げますが、そこで暁千星のトートと並びます。
暁トートと風間ルキーニは、ビジュアルや持ち味が対照的。

ワイルドでアナーキーな、髭面で浅黒いルキーニ。
繊細な空気をまとった、蒼白い肌のトート。

どこか面白がって、市民を煽動するルキーニ。
冷静に、計画を推進するため、煽動に一役買うトート。

この二人が対照的であればあるほど、強烈なインパクトが生まれ、舞台が熱を帯び、より一層華やぎます。

美しくも、興味深い二人。
なんとも絵になる並び。

下級生で、やや小柄な風間くんの方が、より男くさく豪胆で。
上級生で、高身長のありちゃんの方が、繊細で中性的なのが、また。

(トートは本来、性別のない存在なので、ありちゃんの役創りは、原点に沿っているのね)

そそりますね…!
ありゆの、めっちゃイイ…!!

持ち味が重ならず、互いに補完し合える二人。
それぞれ単体でも魅力的なのに、並ぶことで増幅し合える二人だと感じました。


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