月組『グランドホテル』感想です。
ラファエラとエリックを朝美絢と暁千星が、フラムシェンを早乙女わかばと海乃美月が役替わり。
ありがたい事に、暁千星と朝美絢のラファエラ(エリック)を、それぞれ観ることが叶いました。
暁ラファエラは前半戦で、朝美ラファエラは宝塚閉幕直前で観劇。
朝美ラファエラは、神秘的な美女。
グルーシンスカヤ(愛希れいか)へ向ける気持ちも、溶け込むように伝わってきました。
科白も、歌も、高めでよく通るアルト。
歌こそ高音部がやや苦しげな時もありましたが、ほぼ破綻なく乗り切ってました。
オカマ感は一切なし。
予備知識なく観たら、娘役だと思うかもしれませんね。
それぐらいナチュラルな女役ぶりでした。
対して、暁千星のラファエラは、存在自体がミステリアス。
性別からして不詳で、謎めいていました。
肚の底が見えなくて何を考えてるんだろう?…グルーシンスカヤの味方に見せかけて、裏があるんだろうか?…と思わせるような。
それが物語の進行に伴って、「この人、ほんまにグルーシンスカヤが好きなんや…大切なんやな…」と沁みてくるというか。
様々なもの…あらゆる欲望や女性性さえも抑圧し、グルーシンスカヤ一筋に仕えてきたのかな…と想像させるような。
ラファエラは、グルーシンスカヤは将来、己(ラファエラ)以外に頼るすべを失う時が来ると予見し、その時に備えて蓄財に励んでいます。
これはあくまでも、私が受けた印象ですが。
実際にその時が到来した際、朝美ラファエラは何らかの形で想いを結実させるかもしれません。
ですが、暁ラファエラは報われないまま終わりそうな予感がします。
ラファエラに対して、より積極的な役創りを感じたのは朝美絢です。
グルーシンスカヤに忠誠を誓う、美しく謎めいた美女。
暁千星のラファエラからは、抑圧した切なさや、滲み出る悲劇性を色濃く感じました。
どちらのラファエラも、それぞれ異なる魅力がありました。
ホテルマン・エリックも、朝美絢・暁千星ともに好演。
もうすぐわが子が生まれるのに、職場を離れられない焦り。
誕生の知らせを、電話越しで聞いた喜び。
朝美エリックも、暁エリックも、未来への希望にきらめく若い父親そのものでした。
朝美エリックは、若々しさの中にも労働者階級にありがちな疲労感を 滲ませていたように思います。
妻子が大変なときに、駆けつけられない焦燥感。
職場を放棄したら解雇され、それこそ妻子を路頭に迷わせる事になる。
そんな葛藤や苦々しい気持ちが、繊細に表現されていたように思います。
暁エリックは、若さや素直さに溢れていました。
ほとんど作為を感じない、ストレートな役創りではなかろうか。
おそらく「朝美ラファエラ・暁エリック」のバージョンを、より「らしい 」配役と感じる方が多そうな気がします。
私は「暁ラファエラ・朝美エリック」のバージョンが、より印象に残りました。
暁ラファエラの捉えどころのない不思議な存在感。
朝美エリックの爽やかな好青年ぶり。
二人とも、役として出していた声の高さ・低さ・通り方もとても良くて。
ラファエラとしての暁さんの発声は、低く落ち着いたアルト。
エリックとしての朝美さんの発声は、高すぎず低すぎず、爽やかな青年の声。
どちらもしっくり来てました。
声は大事ですね。
役替わりは覚えることが膨大で、たいへんだと思います。
お二人とも、どちらの役も違和感なく見事にこなしてました。
特にラファエラは難しい役だと思います。
ソロ歌唱もありますし。
…そして、この歌が良かったんですよ…。
しみじみと心に迫る切なさが…。
朝美さんも、暁さんも、歌唱力が確実に伸びてきてると思いました。
今後がますます楽しみな若手のお二人です。
(朝美さんはそろそろ中堅にさしかかってきた…?)
月組『グランドホテル』本当に素晴らしい舞台です。
残念ながら、版権の都合で DVD化の予定はないそうです。(タカラヅカ・クリ エイティブアーツ回答)
スカステでも放映されないと思われます。
とはいえ、諦めずにTCAにお願いメールを出したいと思っています。
星組『ガイズ&ドールズ』みたいな例もありますし。
(版権都合で発売予定なしから、発売に変更)
ただ、『ガイズ&ドールズ』は、月組上演時(大地真央・黒木瞳主演) は、ビデオが発売されました。
※ 戴いたコメントによると、大地さんの『ガイズ&ドールズ』未発売だとの事。
ご教示ありがとうございます。
珠城りょう君が「大地版ガイズのビデオを買った」と昔の思い出を語ってらしたので、てっきり…。
空耳(空目)でしたら、すみません。
対して、『グランドホテル』は月組初演時(涼風真世・麻乃佳世主演 )も映像化はなし。
今回も厳しいだろうと思います。
それでも、お願いするだけしていこうと思っています。
せめて資料映像は残しておいて下さいね、宝塚歌劇団さん。
本当に素晴らしい舞台でした。
東京でご覧になられる方々、どうぞお楽しみに。
味わい深い大人の世界を、ぜひご堪能ください。
ラファエラとエリックを朝美絢と暁千星が、フラムシェンを早乙女わかばと海乃美月が役替わり。
ありがたい事に、暁千星と朝美絢のラファエラ(エリック)を、それぞれ観ることが叶いました。
暁ラファエラは前半戦で、朝美ラファエラは宝塚閉幕直前で観劇。
朝美ラファエラは、神秘的な美女。
グルーシンスカヤ(愛希れいか)へ向ける気持ちも、溶け込むように伝わってきました。
科白も、歌も、高めでよく通るアルト。
歌こそ高音部がやや苦しげな時もありましたが、ほぼ破綻なく乗り切ってました。
オカマ感は一切なし。
予備知識なく観たら、娘役だと思うかもしれませんね。
それぐらいナチュラルな女役ぶりでした。
対して、暁千星のラファエラは、存在自体がミステリアス。
性別からして不詳で、謎めいていました。
肚の底が見えなくて何を考えてるんだろう?…グルーシンスカヤの味方に見せかけて、裏があるんだろうか?…と思わせるような。
それが物語の進行に伴って、「この人、ほんまにグルーシンスカヤが好きなんや…大切なんやな…」と沁みてくるというか。
様々なもの…あらゆる欲望や女性性さえも抑圧し、グルーシンスカヤ一筋に仕えてきたのかな…と想像させるような。
ラファエラは、グルーシンスカヤは将来、己(ラファエラ)以外に頼るすべを失う時が来ると予見し、その時に備えて蓄財に励んでいます。
これはあくまでも、私が受けた印象ですが。
実際にその時が到来した際、朝美ラファエラは何らかの形で想いを結実させるかもしれません。
ですが、暁ラファエラは報われないまま終わりそうな予感がします。
ラファエラに対して、より積極的な役創りを感じたのは朝美絢です。
グルーシンスカヤに忠誠を誓う、美しく謎めいた美女。
暁千星のラファエラからは、抑圧した切なさや、滲み出る悲劇性を色濃く感じました。
どちらのラファエラも、それぞれ異なる魅力がありました。
ホテルマン・エリックも、朝美絢・暁千星ともに好演。
もうすぐわが子が生まれるのに、職場を離れられない焦り。
誕生の知らせを、電話越しで聞いた喜び。
朝美エリックも、暁エリックも、未来への希望にきらめく若い父親そのものでした。
朝美エリックは、若々しさの中にも労働者階級にありがちな疲労感を 滲ませていたように思います。
妻子が大変なときに、駆けつけられない焦燥感。
職場を放棄したら解雇され、それこそ妻子を路頭に迷わせる事になる。
そんな葛藤や苦々しい気持ちが、繊細に表現されていたように思います。
暁エリックは、若さや素直さに溢れていました。
ほとんど作為を感じない、ストレートな役創りではなかろうか。
おそらく「朝美ラファエラ・暁エリック」のバージョンを、より「らしい 」配役と感じる方が多そうな気がします。
私は「暁ラファエラ・朝美エリック」のバージョンが、より印象に残りました。
暁ラファエラの捉えどころのない不思議な存在感。
朝美エリックの爽やかな好青年ぶり。
二人とも、役として出していた声の高さ・低さ・通り方もとても良くて。
ラファエラとしての暁さんの発声は、低く落ち着いたアルト。
エリックとしての朝美さんの発声は、高すぎず低すぎず、爽やかな青年の声。
どちらもしっくり来てました。
声は大事ですね。
役替わりは覚えることが膨大で、たいへんだと思います。
お二人とも、どちらの役も違和感なく見事にこなしてました。
特にラファエラは難しい役だと思います。
ソロ歌唱もありますし。
…そして、この歌が良かったんですよ…。
しみじみと心に迫る切なさが…。
朝美さんも、暁さんも、歌唱力が確実に伸びてきてると思いました。
今後がますます楽しみな若手のお二人です。
(朝美さんはそろそろ中堅にさしかかってきた…?)
月組『グランドホテル』本当に素晴らしい舞台です。
残念ながら、版権の都合で DVD化の予定はないそうです。(タカラヅカ・クリ エイティブアーツ回答)
スカステでも放映されないと思われます。
とはいえ、諦めずにTCAにお願いメールを出したいと思っています。
星組『ガイズ&ドールズ』みたいな例もありますし。
(版権都合で発売予定なしから、発売に変更)
ただ、『ガイズ&ドールズ』は、月組上演時(大地真央・黒木瞳主演) は、ビデオが発売されました。
※ 戴いたコメントによると、大地さんの『ガイズ&ドールズ』未発売だとの事。
ご教示ありがとうございます。
珠城りょう君が「大地版ガイズのビデオを買った」と昔の思い出を語ってらしたので、てっきり…。
空耳(空目)でしたら、すみません。
対して、『グランドホテル』は月組初演時(涼風真世・麻乃佳世主演 )も映像化はなし。
今回も厳しいだろうと思います。
それでも、お願いするだけしていこうと思っています。
せめて資料映像は残しておいて下さいね、宝塚歌劇団さん。
本当に素晴らしい舞台でした。
東京でご覧になられる方々、どうぞお楽しみに。
味わい深い大人の世界を、ぜひご堪能ください。
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