2016年 宙組『エリザベート』
ご覧になられた方は、絶賛の嵐のようですね。

私もその一人ですが。
……主要キャストはもちろん、各キャストが素晴らしくて。
宙組すごいわ。

『王家に捧ぐ歌』の時も「今までどこに隠してた?」と驚くような、迫力と勢いを感じました。
あっさりサッパリ風味の、涼しげでスタイリッシュな宙組さんが。
一丸となり、熱く燃えたよね…!
2015年宙組の『王家に捧ぐ歌』も大好きです。

そして、今回のエリザベート。

前回の2014年花組版の主要キャストは、群を抜いた歌唱力・演技力の持ち主揃い。
(トート:明日海りお/フランツ・ヨーゼフ:北翔海莉/ルキーニ:望海風斗)

決して比較すまい……と思って、臨みました 。

でもね……そんな覚悟は不要でした。

宙組のエリザベートは、完成された別世界。
他と比較することなく、宙組のエリザワールドに没頭できました。

要となるエリザベートに、実咲凛音が配されたこと。
その相手役が、朝夏まなとであること。

歌唱力と演技力が拮抗する上、強い信頼関係という土台がある。
いろんな意味でしっかりした基盤がある、エリザベートとトート。

朝夏に対峙する役が、真風涼帆である事も大きく作用しています。

我慢役といわれる、フランツ・ヨーゼフ。
真風さんは抑制の効いた、品格あふれる演技で魅せてくれます。
出過ぎないのに、大きな存在感があるんですよね。

それだけに、フィナーレで銀橋の下手端に現れた真風さんの華やかさよ。
ハッとして、目を奪われました。

二時間以上溜めて、溜めて、溜め込んで……極限まで溜めた光を、一気に放出したかのような輝き。
真風さんが持つ色香と華が、倍増した気がしました。

トリデンテといえば雪組ですが、宙組もすごい。
宙組のトップコンビと二番手が持つパワーの大きさよ…!

愛月ひかるのルキーニも軽妙洒脱で、私は好きです。
ストーリーテラーとしても、暗殺者としても、ほど良い塩梅。

ルキーニは濃いキャラクターですが、抑えめの演技も功を奏していると思います。
語り手を務める以上、出過ぎても逆効果ですものね。

ルドルフの桜木みなと(青年)と星風まどか(少年)も秀逸。
儚げで、まさに壊れそうな風情。

少年ルドルフの、小さな胸の痛み。
青年ルドルフの、昏く重苦しい孤独。

頑なに伝統を守る、ゾフィ皇太后。
色気満載マダム・ヴォルフ。
狂気に囚われた自由な魂・ヴィンディッシュ嬢。
男前揃いの革命家チーム。
語りたい人が多すぎます。

シシィのお父上が、2014花組版に続き、悠真倫さん。
まりんさんの存在で、宝塚版『エリザベート』に連続性を感じました。
まりんさんは主に1幕に出番が集中していますが、存在感は大きいですね。

私は、とりたてて『エリザベート』好きではありません。

2014年花組版は、Blu-rayをハードリピートしてます。
主にトートやルキーニの、歌やダンスを中心に。
個々は非常にハイレベルですし、見飽きる事がありません。

ただ、肝心のシシィに共感できず……それゆえ、胸打たれる事もなく。

むしろ「〜〜???」でした。
ほんっとすみません……理解力が低いもので…。

でも、今はちょいと違いますぜ?
実咲シシィのおかげで、謎が解けましたし。

シシィの心情変化が、如実に伝わる演技。
さらに、歌唱も素晴らしいですし。
「美貌の皇后」との表現も、説得力があります。

『エリザベート』は、かなり好きな演目にジャンプアップしました。

シリアスなのに、観ていて息苦しさはなく。
朝夏まなとのリーダーシップの元、妖しく情熱的な世界を展開。
見応えも、聴き応えも、ありすぎ。

2016年宙組版のエリザベート…… 今このキャストで上演してくれてありがとう…!



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