こんにちわ
竹川@グレイス関西です。
前回
冒頭で少し触れましたが、今週月曜日から名古屋で
「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が開催されています。
話は少し逸れますが、宇宙のスケールでは”液体としての水”が存在するという意味において、私達のこの地球は”奇跡の星”と言われます。
同じように地球のスケールでは、”日本列島”はまさに”奇跡の島”と位置づけられることを私はつい最近まで知りませんでした。ユーラシア大陸とくっついたり離れたりしてきた日本列島、偏西風がヒマラヤ山脈の南側、更にはインド洋上を通ることで湿った空気を運ぶことなど、その他いくつもの要因が重なることで育まれてきた”豊富な森林資源”。
親潮と黒潮という二大海流の混ざり合いや、これまた多くの偶発的要因から生まれる”類まれな海洋生物資源”の存在。
どちらの資源も今や危機的ではありますが、それらが重なり合うことで今もって日本は世界でも最多の”固有種”が存在する”奇跡の島”であることに違いはありません。
そんな私たちのこの日本での「COP10」開催には大いなる意味があることなんです。
ご案内のように、COP10のテーマは大きく二つです。
1.”生命を守る”
象徴的テーマが”絶滅種”の急激な増加の問題です。あるデータによると、絶滅種の数は18世紀までは4年に1種程度、19世紀には年に1種程度だったのに対して、1975年には年に1000種、現在では年に4万種とも言われています。「約13分に1種」「1日に約110種」の割合になるそうです。まさに加速度的な増加です。このまま続けば、早ければ2030~50年ごろには地球上の野生動植物はゼロになる可能性もあるんだそうです。
2.”生物資源を使う”
具体的には、新薬を巡る利益配分の問題であり、非常に重要且つ深刻なテーマです。
コンピュータの化学合成による新薬開発に限界が見えてきた現代、夢の新薬誕生への期待は、生物が持つ人智を超えた物“生物資源”に託されようとしているんです。しかしここ18年に渡り、「生物資源を有する途上国」と「生物資源から薬を開発する先進国」は激しい論争を続けてきています。
途上国は先進国に対し「生物資源を奪い、先住民の知恵を盗み取る海賊行為=バイオ・パイラシーだ!」と訴え続けているんです。しかし、両者が平行線を続ける今も、ガンやエイズに苦しむ人々は新薬を待ち望んでいるのも現実です。一体、生物資源は誰のものなのか?早く国際ルールを決めないと夢の新薬が作れないという研究開発現場の訴えも切実な声なんです。
さて、私は恥ずかしながら不勉強だったのですが、この「生物多様性条約」と”京都議定書”の背景にある「気候変動枠組条約」とは双子だったことを皆さんはご存知でしょうか?
ルーツは共に1992年の第一回「地球サミット」(ブラジル/リオネジャネイロ)にあるという意味です。その後はやや「気候変動枠組条約」にスポットが当たり、より進展が認められるようですが、この「COP10」をきっかけに「生物多様性条約」目標の具現化にも大いにドライブがかかるだろうと願います。
最後に、ご存知の方も今一度、もし未だお聞きでない方は是非、下のスピーチを読んでみて下さい。
上述・18年前の「第一回地球サミット」での”12歳の少女のスピーチ”です。彼女はセヴァン・スズキさんといい、日系4世のカナダ人です。可能な方はネットでも公開されていますので、是非改めて映像でもご覧になってみて下さい。このスピーチほど”環境に対する関心を促し”、そして”サステイナビリティという考え方を鮮烈に物語るものは無い”と言われています。”伝説のスピーチ”と言われる所以です。私も本当にそう思います。
<セヴァン・スズキさん/スピーチ全文>
こんにちは、セヴァン・スズキです。エコを代表してお話しします。
エコというのは、子供環境運動(エンヴァイロンメンタル・チルドレンズ・オーガニゼーション)の略です。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、今の世界を変えるためにがんばっています。あなたがた大人たちにも、ぜひ生き方をかえていただくようお願いするために、自分たちで費用をためて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。
今日の私の話には、ウラもオモテもありません。なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため。自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとはわけがちがうんですから。
私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。
太陽のもとにでるのが、私はこわい。オゾン層に穴があいたから。呼吸をすることさえこわい。空気にどんな毒が入っているかもしれないから。父とよくバンクーバーで釣りをしたものです。数年前に、体中ガンでおかされた魚に出会うまで。そして今、動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。それらは、もう永遠にもどってはこないんです。
私の世代には、夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢をもつこともできなくなるのではないか?あなたがたは、私ぐらいのとしの時に、そんなことを心配したことがありますか。
こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。でも、あなたがた大人にも知ってほしいんです。あなたがたもよい解決法なんてもっていないっていうことを。
オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。
ここでは、あなたがたは政府とか企業とか団体とかの代表でしょう。あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。でもほんとうは、あなたがたもだれかの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじなんです。そしてあなたがたのだれもが、だれかの子どもなんです。
私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが同じ大きな家族の一員であることを知っています。そうです50億以上の人間からなる大家族。いいえ、実は3千万種類の生物からなる大家族です。
国境や各国の政府がどんなに私たちを分けへだてようとしても、このことは変えようがありません。私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。
私は怒っています。でも、自分を見失ってはいません。私は恐い。でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れません。
私の国でのむだ使いはたいへんなものです。買っては捨て、また買っては捨てています。それでも物を浪費しつづける北の国々は、南の国々と富を分かちあおうとはしません。物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも手ばなすのがこわいんです。
カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つめぐまれた生活をしています。時計、自転車、コンピューター、テレビ、私たちの持っているものを数えあげたら何日もかかることでしょう。
2日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。ひとりの子どもが私たちにこう言いました。
「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに。」
家もなにもないひとりの子どもが、分かちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。
これらのめぐまれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭をはなれません。どこに生れついたかによって、こんなにも人生がちがってしまう。私がリオの貧民窟に住む子どものひとりだったかもしれないんです。ソマリアの飢えた子どもだったかも、中東の戦争で犠牲になるか、インドでこじきをしてたかもしれないんです。
もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどこのことを知っています。
学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。たとえば、
・ 争いをしないこと
・ 話しあいで解決すること
・ 他人を尊重すること
・ ちらかしたら自分でかたずけること
・ ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
・ 分かちあうこと
・ そして欲ばらないこと
ならばなぜ、あなたがたは、私たちにするなということをしているんですか。
なぜあなたがたがこうした会議に出席しているのか、どうか忘れないでください。そしていったい誰のためにやっているのか。それはあなたがたの子ども、つまり私たちのためです。あなたがたはこうした会議で、私たちがどんな世界に育ち生きていくのかを決めているんです。
親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子供たちをなぐさめるものです。あるいは、「できるだけのことはしてるから」とか、「この世の終わりじゃあるまいし」とか。
しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことができなくなっているようです。
おききしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。
父はいつも私に不言実行、つまり、なにをいうかではなく、なにをするかでその人の値うちが決まる、といいます。しかしあなたがた大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。あなたがたはいつも私たちを愛しているといいます。しかし、私はいわせてもらいたい。もしそのことばが本当なら、どうか、本当だということを行動でしめしてください。
最後まで私の話をきいてくださってありがとうございました。
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ではまた(竹川)
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