「ミューラー教授の家系がエ・モナの子孫だったって事は、つまりかつての超古代文明を作っていたということで、そして箱舟に乗った者たちの子孫だったてことだな。
だが、そうだとすると、エ・モナの国家は統制経済だった訳だろ。どうしてミューラー教授は自由主義を求めるのだ?」斎藤は、大沢美穂の説明に疑問を持った。
「教授が言うには、恐らく巨人との混血のせいだろうというの。メソポタミアから、コーカサスを経て、ボヘミアへ移る間には、かなり長い年月が経っている。その間に多くの戦争もあり、巨人の生き残りたちや、もしかすると、巨人とは異なる人類とも混血したのかも知れない。
はっきりしている事は、エ・モナの国家は完全な統制経済、統制国家だったけど、エ・モナは、神々から創られた自動人形だったから、プログラムの問題はなかったのよ。そこには調和がとれていて、それ自体には問題がなかった。
ところが、巨人たちは元々、個人主義で、統制はされていなかった。自然に発生した生物だから、プログラムは完全ではなく、コピーする度にミスがあった。いつも、変化する遺伝子を持っていたのね。
エ・モナの統制経済、統制国家を真似ても、完全には出来ない。いつも反乱する勢力が生まれたの。元々、全体主義には向いていないのよ。」
「では、ミューラー教授はエ・モナの国家とは別のものを目指しているのか?何だか、ますます分からないのだが。」
ミューラー教授がエ・モナの子孫だとすれば、当然にエ・モナの遺志を継ぐのではないか、斎藤はそう思っていた。
「そうよ、エ・モナの国家とは別のものを目指しているのよ。そして、人類改良計画は、人類をエ・モナと同じように、統制された国家にするためのものなの。これがミューラー教授の研究で分かったことよ。」
大沢美穂は、断言した。エ・モナの国家が統制国家だった、それはエ・モナ自身が神々によって創られた、自動人形、つまり機械だったからだ。
しかし、人類はただの機械ではない。その為、完全な統制は不可能だった。その人類を、エ・モナと同じ機械のように統制できる存在に変えるのが人類改良計画だと言った。
「美穂さんの説明は、理解したよ。でもなあ、そうすると、モナちゃんとは敵対することになるのか?なんだかそれは違うような気がするが。」
斎藤は、大沢美穂の説明を理解したとは言ったのだが、納得はできないようだった。勿論それは、中西や里美も同じだった。
「モナちゃん、どう思う?今の美穂さんの説明は、納得できるのか?」
大沢美穂の説明を黙って聞いているモナに、斎藤が尋ねた。
「あっ、ハイ、ええっと・・・スミマセン。ちょっと難しくて、途中から眠っていました。あの、何処まで行きましたか?」
モナはこのような、話には向いていなかった。聞こうと努力はしたのだが、どうしても睡魔には勝てなかったのだ。