検査結果について「航空宇宙センターに問い合わせてみるか。」と斎藤は考えたのだが、大沢美穂は「それは無駄なことでしょうね。」と言った。
もし答えられる事なら、初めから秘密にはしていない、というのが理由だった。
「じゃあ、俺たちはこのまま黙っていろと言うのか?」
斎藤は、尚も納得しなかったのだが、大沢美穂は、それよりも、大事な事は、航空宇宙センターで実際に何が起きたのか、どうしてホタルが集まったのか、それを知ることだろうと言った。
「どうやって、それを調べるのだ?」
「それは、警察官なのだから得意分野でしょう?」と大沢美穂はさも簡単だと言わんばかりだった。
「ところで、折角皆さん集まっているのですから、先日の私の質問の答えはどうですか。」
「ああ、あの現代の社会についてどう思っているか、だな。」
「はい、そうですよ。答えの用意は出来ましたか?」大沢美穂は、まるで学校の先生にでもなったかのように言った。
「はい、大沢先生、自分から答えて宜しいでしょうか。」中西が元気よく手を上げ、大沢先生などとふざけて呼ぶと「はい、中西君どうぞ。」と大沢美穂も、調子に乗ってすっかり先生気取りで答えた。
斎藤は、中西と大沢美穂の親し気なやり取りが気に入らず、「中西、ふざけすぎだぞ。」と横やりを入れたが、中西は意に介さなかった。
「自分は、この前不思議な夢の中に居ました。宇宙船や、ヘリコプターなどで攻撃される夢です。その攻撃を、皆に伝えても、誰も反応しないで無視するのです。
まあ、ゲームのやりすぎだと言われれば、そうでしょうけど。自分が思ったのは、社会がバラバラになっているのじゃないかと言うことです。
災害の時などの、ボランティアの方は確かにいますよ。けれど、全体として、社会の仕組みとしては壊れていると感じます。個々人のボランティアに頼らなければ、必要な援助が政府としてはできない。
これって国家組織としては崩壊しているのかな、と思います。」中西は、珍しく真剣に考えたようだった。
「中西、お前やっぱりどこかおかしくなったのか。そんなことを言う奴じゃ無かったのに。」
斎藤が茶々を入れたが「斎藤さん、人の発言に文句を言ってはいけませんよ。話し合いの基本ルールですよ。」と逆に大沢美穂に注意された。
相変わらず、大沢美穂は上から目線だった。