中西の話が、あまりに突拍子もないことで、斎藤は理解に苦しむ。

 

 「済まないな、中西、俺にはお前が何を言いたいのかさっぱりわからないよ。」

 

 「ええ、分かりますよ、斎藤さん。自分だって、良く分かってはいませんから。でもですね、斎藤さんは今、新幹線つばさに乗っている、と思っていますよね。」

 

 中西が、また訳の分からない質問をする。

 

 「何か、面倒くさい質問だな、新幹線つばさに乗ってるって言っただろう。だからお前も乗ったんだろう。それとも何か、間違って違う電車に乗っているとでも言うのか?」斎藤も少し、苛立ってきた。

 

 「その新幹線なんですけど、今はもう走っていないのですよ。斎藤さんが、乗ったのは40、50年前の記憶ですよ。もう、30年ほど前から、長距離列車はリニアモーターカーだけなのですよ。」

 

 益々、訳の分からない無いことを言う中西に、斎藤は呆れてしまった。

 

 「おい、中西いい加減にしろよ。せっかくの懐かしい旅が台無しじゃないか。俺は、15、6の高校生だった頃の懐かしい思い出に浸りたくて、ここまで来たんだよ。何で、そんなに邪魔をするようなことを言うんだ?」

 

 中西はそれでも構わず、斉藤に諭すように質問を続けた。

 

 「斎藤さん、ちなみに斎藤さんの腕時計、西暦何年になっていますか?」

 

 「あん?何だよ、今は、・・・ちょっと待ってろよ。あれ、おかしいな、西暦2020年になってるなあ。あれ?今は何年だったっけ?」

 

 斎藤は、時計を見て少し動揺した。記憶がはっきりしないが、2020年ではないと思った。2020年は、斎藤が高校に入学した頃のはずだった。

 

 「今年は、西暦2065年ですよ。なので、さっきも言いましたけど、この列車は45年前の記憶なのですよ。」

 

 中西は、何とか斎藤を納得させようと話す言葉に力を込めた。だが、斎藤はまだ疑っていた。

 

 「中西、お前が何かを一生懸命に伝えようとしているのは分かるよ。でもな、俺には何がどうなっているのか全然わからないのだ。

 

 どうしてこの時計が2020年になっているのか、ただ単に壊れているだけなのかも知れない。

 

 それなのにお前はまるで、それが分かっていたような口ぶりだ。お前は、何を知っているのだ。俺にも分かるように説明してくれ。」

 

 「モナちゃん、ちょっと説明してやってよ。」中西は困ってしまい、モナに助けを求めた。