暫くすると、車両の連結部のドアが開き、中西が現れた。

 「斎藤さん、無事でしたか?」中西が、斉藤を見るなり、緊張した面持ちで声をかけてきた。

 「オォ、お前どうしたんだ。どうやってここへ来たんだ。」斎藤は、驚いて目を見張る。

 『中西が、この新幹線に乗っていたはずはない。なのに一体どうして、ここへ。』

 「もう大丈夫ですよ。今、モナちゃんも来ますから。」

 「モナちゃんも?何で、ここに来るんだ。一体何があったんだ?」

 再び連結部のドアが開き、アテンダント姿のモナが現れた。

 「モナちゃん、どうしたんだその格好?」

 「せっかくだから、社内販売員の制服着てみました。ビールとおつまみはいかがでしょうか。」

 モナはすっかり、アテンダント気取りになっていた。

 「モナちゃんは何だか、はしゃいでいるな。とりあえず、缶ビールとずんだ豆を頼むよ。」

 「はい、承知しました。」

 「ところで、中西、お前たちどうやってここに来たんだ?」

 「その前に、自分があれから、どんな目に会ったか説明しますね。」

 「ああ、そうだった。中西も、具合が悪かったのかな。」斎藤は、もう半ば、今朝からの事を忘れかけていた。

 中西の話によると、下総香取から帰った翌日、悪夢を見て起きられなかった。それは、子供の頃よくみたアニメやゲームの世界が目の前に現れたのだと言う。

 「朝起きて、出勤しようと、玄関のドアを開けたんです。すると、大きなタワーが林立する街中でした。多分、城内北の丸区のあたりだったと思います。

 そして、空から大型のヘリコプターのような物が近づいてきて、辺り一面を機銃掃射のように打ちまくるんです。自分は、驚いて、走って逃げました。

 今度は、タワービルの上に宇宙船のような巨大な戦艦が現れ、ビルを攻撃し、粉砕したんですよ。もう、生きた心地はしなくて、とにかく城外開拓区警察署に行こうと、手近の車を見つけて乗り込んだんです。

 そして、警察署について、宇宙船の攻撃を伝えようとしたんですが、皆無視して聞いてくれないのです。途方に暮れていたら、里美が現れて、とにかく列車ハウスに行こうと言うので、一緒に行ったんです。」

 中西の話す様子は、真剣そのものに見えた。

 「じゃあ、里美も列車ハウスにいるんだな。」

 「そうですよ。そして、モナちゃんに会って、事情を説明したのです。そうしたら、モナちゃんが自分の目をじっと見て、自分は見つめられてるうちに、気持ちが落ち着いてきたんです。

 そして、モナちゃんが、このドアから外に出ましょう、と言って列車ハウスを出た瞬間、自分は夢から覚めたように、意識がはっきりしました。」

 「それは、どういうことだったんだ?」

 斎藤には、まだ中西が何を説明しようとしているのか、理解できなかった。