大沢美穂の言う、人類改良計画とは何か。それと、ミューラー教授の研究とどう関りがあるのか、全ては謎のままだった。

 

 「この列車ハウスにいる植物、その力を確かめたかったんだけど、どうやら無駄足だったようね。でも、さっき私が言ったことをよく考えて見て。答えが出たら、連絡頂戴ね。」

 

 そう言って、大沢美穂は列車ハウスを後にした。

 

 「結局あの人は何をしに来たんでしょうか?」中西が、ぽつんと呟いた。

 

 「良くわからんが、植物の力を確かめたかった、と言っていたよな。人類改良計画まで知っているとなると、あの蜂の事も、知っているわけだろう。それで、どうしたいのかは分からないが。」

 

 斎藤も、大沢美穂の目的が分からず、ぼんやりと、去り行く大沢美穂の後姿を見つめるだけだった。

  

 「だけど、これ以上別に何も、調べる必要はないのじゃないですか。大沢美穂も、マスコミでこの植物の事を発表するつもりはなさそうですし。このまま放っておいても、何も変わらないような気もしますけどね。」

 

 中西は、話の内容についてゆけず、頭も疲れた様子で、休みたかった。

 

 「私は、ミューラー教授の研究を調べてみようと思います。多分、人類改良計画に関係があるのでしょうから。」

 

 里美はもう少し、はっきりしていた。ミューラー教授の研究にヒントがあるのだと思っていた。

 

 「清人君は、どう思うんだ。あの大沢美穂の言った事。」斎藤が、清人に尋ねた。

 

 「僕は、正直言って、何のことやらわかりません。そもそも、現代の社会についてどう思っているか、と言われても、僕は殆ど接点がありませんから。感想すら浮かばないのが、現実です。」

 

 「まあ、そうだよな。でも、モナはどうなんだ。」

 

 「うーん、スミマセン、私も、5万年前のことしかわからないので、答えようがないです。」

 

 「そうでしょう、皆そうなんですよ、だって誰も、困ってないですからね。今の生活をそのまま続ければ良いことで、わざわざ人類改良計画何て必要ないのじゃないですか。」

 

中西は、わが意を得たりと、急に元気になった。

 

 「でもなあ、何かしなきゃいけないのじゃないか、そんな気もするんだが。」斎藤は、少し気になっていた。

 

「あのー。皆さんには、まだ詳しく話していませんでしたけど、5万年前何が起きたのか。そして、今これから何が起きようとしているのか。その事をちょっとお話ししますね。」

 

 モナが、控えめに話し始めた。