検問所までの舗装されていない、田舎道を歩きながら、斎藤は、何かすっきりしないものを抱えていた。

 

 「何だか、拍子抜けしますね。そんな心配するような事じゃなかったんですかねえ。」中西も、斉藤と同じく少しがっかりしたような感じだった。

 

 「そうなんだよな、もっと、こう何か、大変なことが起きるかと思たんだがな。意外にあっさり承諾したな。」斎藤も、安心したような、がっかりしたような妙な感じだった。

 

 「里美はどうします。呼んだ方がいいでしょうかね。」中西が、思い出したように里美の話をした。

 

 「そうだな、モナ達は何の心配もなさそうだが、でもやっぱり里美がいてくれた方が、何か安心するな。呼んでおいてくれるか。」斎藤は、珍しく弱気になっている。やはり、不安が消えなかった。

 

 「分かりました。自分も、その方が何かいい気がします。」中西も、やはり不安が残っているようだった。

 

 2人の不安の正体は、単に、列車ハウスの秘密が知れる、と言うことだけではない。大沢美穂の自信たっぷりの様子が、得体の知れない不安を掻き立てる。

 

 『あの女は、植物を見たと言った。つまり、植物が突然飛び出してきて、あっという間にアーケードを作り出した、あの一連の動きを見たわけだ。なのに、何故平然としていられるのだ。普通なら、到底あり得ないことだ。あの女は何者なのだ。』

 

「あと、それから大沢美穂について、できるだけ詳しく調べるように言ってくれ。あの女の経歴が知りたい。」

 

 斎藤は、中西にそう指示し、中西も、「分かりました。自分も、調べてみます。あの女はちょっと変ですからね。」と答えた。

 

 

 城外開拓区警察署につくと、早速中西が、里美のいる資料課を訪ねた。

 

 「実は、ちょっと困ったことが起きた。それで、里美にも手伝ってほしいのだ。」中西は、一連の事態を説明し、里美に、大沢美穂の経歴を調べるように頼んだ。

 

 「大沢美穂って、あの有名なレポーターの人でしょう。でも、今の話の様子じゃ、唯のレポーターじゃないみたい。」

 

 「そうなんだ、普通の感覚とは違っている。それに、マスコミの車がすぐ消えたというのも変だ。唯のレポーターにそんな力があるとは思えないよ。」

 

 「それって、バックに大物がついているってこと?」

 

 「その可能性もあるな、誰か有力な政治家の愛人かもしれないし。」

 

 「まあ、それは分からないけど、でもできるだけ、交友関係も調べてみるわ。」

 

 こうして、3人は、大沢美穂の経歴を調べるという、探偵まがいの仕事を始めることになったのだが、その事は本来の警察官の職務からは、だいぶかけ離れてしまったせいか、少し罪悪感もあった。