カエルの墓が確認されたことが公になると、マスコミは再び騒がしくなった。検問所の近くまで来ると、車を止め、そこからは望遠カメラで湿原の一帯を写し、何時ものように、美人キャスターのレポート風景がテレビに流れた。
『ここが、大量のカエルと蝙蝠の死骸が発見された湿原です。今は、静かに風が吹き渡り、とても平和な印象ですが、以前、動物たちが虐待され、その挙句大量に殺戮された、と言うことが分かりました。
しかし、その犯人は、まだ見つかっていません。私たちは、この動物虐待が繰り返されることのないように、ここで犯人を捜しています。現地から大沢美穂がお伝えしました。』
そして、例によって彼らの無作法な態度は、騒音を引き起こし、ゴミをまき散らし、周囲の自然環境を悪化させる。
そして、それに合わせたかのように、蜂の集団が現れ、カメラマンたちを襲った。それでもなお、報道の自由の為、彼らはしつこく現れ、蜂の被害まで訴えた。
マスコミを制御するために、城外開拓区警察署の署員が再び駆り出され、斎藤たちもその中にいた。
「斎藤さん、これってどうなんですか。マスコミの連中は、自分たちが騒ぎを作り出しているって、わかってますかねえ。」中西は、暫く蜂が出てこなくなったのに、また余計なことをする、とマスコミに不満を持っていた。
「まあ、分かっているだろうな。マッチポンプって言葉はマスコミでも使われているからな。ただ、自分たちの何が、騒ぎを引き起こしているのか、そこには気づかないのかも知れないな。」
斎藤は、さも理由が分かっているような言い回しをした。
「というと、斎藤さんは、マスコミの何が、騒ぎの原因だと思っているのですか。」
「俺の勘では、マスコミの連中が大声を出して騒ぐこと、そして、ゴミを巻き散らかして、平気な事、そのあたりだと思っている。」斎藤は、珍しく、真剣な表情をしていた。
「では、あの蜂は理由があって、出てきていると言うのですか。」
中西は、まだ斉藤の言わんとするところがよくわからずにいた。
『まさか、斎藤さんは、あの時の話を本気で信じているのか』
それは、吾妻の言った話、神々の戦いと人類改良計画の事だった。口には出さないが、と言うよりも、口には出せないが、斎藤の考えを疑わずにはいられなかった。
「そうだ。あの蜂は、環境の悪化に対して、文句を言っているように思えるのだ。つまり、この湿原を静かな環境のままに保とうとしているように思えるのだよ。」
斎藤にも、確信はなかったが、蜂の行動に一定の基準はあるように思えたのだ。