「すると、モナはかつてあのタブレットを記した、エ・モナの生き残りと言うことなのか。」春清が確認した。

 

 「そうです。モナは、本来この箱舟と共に、生き残って、地球人類の文明を改良する計画でした。ですが、洪水で流されてしまい、その計画が実行されることがなかったのです。」

 

 「そうか、やはりあの蜂は、神々と呼ばれる地球外生命体のものなのだな。」春清は、それを確認すると、またマザーに尋ねた。

 

 「そして、私の予想では、この植物たち、つまりマザーを含めて、この列車ハウスを形成する植物たちだが、それは先ほどの地球人類を改良しようとする神々の、作ったもの。そういう事だね、マザー。」

 

 「はい、そうです。」マザーが短く答えた。

 

 「ところで、マザー、あの蜂のサンプルを、警察に渡すことは可能なのか。」

 

 「可能です。」

 

 春清は、暫く考え込んだように、黙り込み、そしておもむろに口を開いた。

 

 「さて、斉藤刑事、私達に残されているのは、全ての神々と戦うか、それとも、人類改良計画とやらに協力するか、どちらかなのだが。私は、マザーの計画に協力するつもりだ。

 

 まあ、それがどういうものかはまだ分からないのだが、少なくとも、滅ぼされるよりはましだと思っている。君はどうする?我々に協力することを選ぶのか、それとも、警察にすべてを報告して、全ての神々と戦うのか。」

 

 斎藤は、すぐに返事ができなかった。と言うのも、春清の言う、人類改良計画の意味が分からない上に、神々と戦う、と言うことが具体的にイメージできなかったのだ。

 

 「少しだけ時間をもらえますか。我々だけで相談したいのですが。」

 

 斎藤は、せめて3人の気持ちを確認する必要があると思った。春清もそれについては了解した。

 

 

 「里美、お前は、もう決めているのだな。」

 

 「はい、私は此方の方々と、共についていくつもりです。どのような事になるのかは分かりませんけど、清人さんを裏切ることはしたくないのです。」

 

 「中西はどうなのだ。お前の考えを聞かせてくれ。」

 

 「自分は、正直何をどうすれば良いのか全く分かりません。到底、彼らの話が事実だとは思えないのですよ。でも、どちらか決めろと言われれば、今ここで反対することはできないですよね。

 

 と言うか、反対したらどうなるのか、賛成したらどうなるのか、そこがまず分からないので。自分は、斎藤さんの決定に従いますよ。」

 

 中西は、お手上げ状態だった。

 

 「そうだな、この先何がどうなるのか、それが全く分からないのは、俺も同じだ。そう言うときは、何も決定しないのが一番なのだが。そう言う訳にも行きそうにないからな。

 

 まあ、はっきりしているのは、モナちゃんはその人類改良計画に参加していると言うことだな。当然清人君も参加するのだろう。となれば、その2人を信じて、ついていくしかないな。

 

 俺たちも参加する。それが結論でいいな。」

 

 斎藤も、訳が分からない中で、参加するという結論を出した。