城外開拓区警察署では、斎藤が大和署長に呼ばれて列車ハウス周辺について報告していた。

 

 「また、蜂が出没したそうだな。それについて詳しい報告が上がってこないのは、どうしてなのだ。」

署長は、静かに、しかし不機嫌そうな声で尋ねた。

 

 「はい、遅くなって申し訳ございません。ですが、あれはただの蜂でした。自分らが手で追い払うと、すぐいなくなってしまいましたので、改めて報告するほどではないと判断しました。」

 

 斎藤は、さも何事もなかったかのように言い訳をした。

 

 「ただの蜂?しかし、科学捜査班の橋本からは、雲が出ていたと、言ってきているのだ。それはどうなのだ。」署長の目が、斎藤を睨んだ。

 

 「雲が出ていたのかも知れませんが、だったとしても蜂はすぐいなくなりましたので、問題はないかと思います。」

 

 斎藤は、顔色を変えずに説明した。斎藤の予想では、あの植物の映像は、抹消されているはずだった。以前に列車ハウスの映像が抹消された様に、今回も、マザーが抹消すると思ったのである。

 

 決定的な映像がなければ、それ以上は追及されないはず、そう考えた為、ここはあくまでしらを切り通そうと考えていた。

 

 「では、その蜂のサンプルは持っているのか?まさか何も持ってないと言うことはないだろうな。科学捜査班に唯の蜂だと主張するためには、その証拠が必要だ。それ位は、わかっているだろう。」

 

 大和署長は、科学捜査班とのやり取りにうんざりしていた。蜂が、ただの蜂でも、或は地球外生命でもそれはどちらでもよい。これ以上こんなくだらないやり取りを、やめたいと思っていたのである。

 

 「あ、それはうっかりしていました。大変申し訳ございません。何だか、余りに簡単にいなくなったものですから、これは例の蜂ではないと、自己判断してしまいました。この次には、証拠のサンプルを確保してきます。」

 

 斎藤は、そこまでは考えていなかった。取り合えず、この場は謝罪することで終わらせようと思った。

 

 このやり取りを、終わらせたい、と言う点では、署長も斎藤も一致していた。問題は、どうやって終わりにするかである。