食堂で食事を済ませて落ち着いたのか、明るいところで見ると、モナはいつの間にか貫頭衣のような衣服をまとっている。

 

 「いつの間に服を着たの?」僕は、驚いてモナに尋ねた、しかしモナは微笑を浮かべながら「これは、貴方の着ているような服とは違います。私の皮膚がこのように変形したのですよ。」と、答えた。

 

 モナの身体は僕とは違っている。始めは硝子の様に透明だったのだが、いつの間にか銀色に輝き、そうかと思えば灰色のプラチナのような皮膚になり、そして今度は洋服をまとったようになる。周囲の状況に合わせ変えられるのだという。カメレオンのようなものか。

 

 モナは珍しそうに、食堂者の中を見回し、機械たちとも何やらコミュニケーションを取っているようだ。どうやって機械と会話しているのか、僕には全く想像できないが、モナの表情には微笑みがあふれている。気のせいか、機械たちも嬉しそうに音を立てているようだ。賑やかになってきた。

 

 列車ハウスの部屋を移動し、座席に座って窓の外を見ると、低い雲が地上に降りてきていた。山でよく見る霧雲の様に、かすんでいる。よくみると、その雲の中をピンク色に光る何かが素早く移動しているようにも見える。

 

 「あの雲の中に、神々が来ていますね。敵なのか、味方なのかわかりませんが。」

 

 雲は、モナがいた野馬除土手で囲まれた葦原のあたりに降りてきて、同時にホタルのように光る何者かが一斉に雲の中から飛び出してきた。

 

 ピンク色のホタルたちはやがて、赤や紫、緑などの光を発して、乱舞する。その中で比較的大きな円盤状の何かが急上昇し、そうかと思うと突然反転し急降下する。

 

 窓をモニターに切り変えて、その葦原のあたりを拡大してみた。円盤のようなものの大きさはせいぜい40~50cmに見える。ホタルたちはもっと小さい。体長1~2cm位か。

 

 『こんなに小さな虫のようなものが、神々?』内心モナの言葉を疑ったが、モナは真剣な表情でホタルたちを凝視している。

 

 夥しい数のホタルたちが、地上めがけて突撃を繰り返している。モナのいた辺りは緑色に発色して輝いているが、攻撃によって土が掘り返され、美しかった葦原は無残な姿をさらけだしていた。