鈴木と、渋谷のガード下にある果林という喫茶店で待ち合わせた。梢ちゃんが波多野の娘だという以上、ルナでは話せないと思ったからだ。御徒町でのいきさつを鈴木に話したが、鈴木は信じられないという顔をした。
「鈴木さん、梢ちゃんは何故、もう一度会おうとしているのだと思いますか?」
「kさん、これねkさんには申し訳ないけど、変な期待は持たない方がいいと思うよ。」
「変な期待って何ですか?」
「梢ちゃんは、kさんを気に入って会おうとしているんじゃないと思うよ。」
「やめてくださいよ、おかしないい方は。私だって、そうは思っていませんよ。だから、どんな目的なのかが不思議なんですよ。」
「目的は、復讐かも知れないよね。」
「復讐って、何の復讐?」
「一つは、波多野を追い込んで行方不明にしたこと、もう一つは山名響子のせいで家庭が壊れた、その逆恨み。」
「それで、一体私にどうしようっていうんです?」
「その月成っていう男、そいつが何かをするんじゃないの?」
「月成が男だとは、まだわかりませんけどね。それに、何かをするって、何をするんです?ちょっと、あんまり突拍子もない想像はやめてくださいよ。」
「まあ、悪かったよ。そんなに怒らいないでよ。でもね、これは普通じゃないと思うよ。梢ちゃんと、会ったのは俺たちがルナに行った最初の日だよね。」
「そうでしたね。あの日、こちらの世界で初めて鈴木さんと会って、いろいろ話したんでしたね。」
「そう、そうしたらその日に初めて梢ちゃんという子が現れたんだよ。俺は、この世界のことはよくわからないけど、過去の世界によく似ていると思っていた。ところが、あの日から変わり始めた。過去と、違うことが起き始めているんだよ。」
「何が言いたいんですか?」
「つまり、俺とkさんだけが、前の世界から来ていたはずなんだけど、あの梢ちゃんも、こことは違う世界から来たんじゃないかってことだよ。そして、俺達に関わってきている、ということは俺達と同じように何かの目的をもってここにきているんじゃないかって、思うんだよ。」
「そうか、そう言えば香さんが誰かに襲われたから、それを守るために私は、ここに来たんでしたね。ということは、その襲った側の人間も、ここにきている可能性がある、ということですか?」
「そうだよ、よく考えれば、梢ちゃんが本当に波多野の娘なのか。月成という人間が本当に波多野の会社の従業員だったのか?まだ確認できていないよね。」
「彼らが、偽物だってことですか?」
「その可能性もあるんだよ。」