「鈴木さんは、あの車の行き先が分かっているんですか?」

 

「いやぁ、それは分からないんだけど、ただ此処の所ずっと、あの車が止まっていたんだ。山川に監視されていたんだろう。多分もう戻ってくることはないよ。」

 

「そうですか、やはりここで行方不明になってしまうんですね。トラックが、東へ向かったのは、金目になるものを処分するためですね。」

 

「そうだろうね、山川が確認して換金するのだろうね。」

 

「ところで、鈴木さん。この前あのルナで山川ともめたとき、ゆかりママが助けてくれたけど、どうしてあんなに親切だったんですか?ただのお客とママの関係にしては不自然ですよね。」

 

「ゆかりさんは、俺の先輩の知り合いだったんだ。先輩に紹介されてあそこに通うようになったんだよ。」

 

「その先輩は、ゆかりママと付き合っているんですか?」

 

「以前はね・・・。今は、もう先輩はいないんだよ。死んじゃってね。」

 

「えっ・・・」

 

少しの間、言葉が出なかった。

 

「どうして、病気とか事故とかで亡くなられたんですか?」

 

「まあ、事故といえば事故だ。でも、不自然だったんだ。」

 

鈴木は、少し怒ったような、苦しそうな表情で、2本目のたばこにまた火をつけた。

 

「何があったんですか?」

 

「先輩は、当時ある事件を追っていたんだけど、その途中で亡くなったんだ。」

 

「そのある事件とは?」

 

「ゆかりさんの弟がある宗教団体に入って、連絡が取れなくなったんだ。それで、先輩がその行方を捜していたんだけど、それは正規の捜査ではないからね。会社には内緒ってやつだ。

 

 その途中で、ビルの階段から転落死した。アルコールの反応もあったので、酔って足を踏み外した、という形になったけど。休みの日でもないのに何故、関係のないビルにいたのかが問題になって、結局うやむやにされたんだよ。」

 

「もしかすると、殺されたかもしれない、ということですか?」

 

「俺はそうじゃないかと思っているよ。」

 

「そうですか。じゃあ、ゆかりさんは鈴木さんが刑事だってわかっていたんですね。だから、事件を起こさないようにこの前は、かばっていたんですね。」

 

「まあ、そういうことだ。」

 

「ふうん、そうですか。で、鈴木さんは、今もあそこに通っているのは何故ですか?先輩の為ですか?」

 

「うむ、今もゆかりさんの弟は行方不明のままだ。ゆかりさんにしてみれば、大事な人を2人も奪われたんだよ。可哀そうじゃないか。だから俺も、先輩の跡を継いで、弟さんを探しているんだよ。」

 

「ふうん、そういうことですか。じゃあ、これから行きますか、ルナへ。この先どうするのかも、話さなきゃいけないし。」