波多野が、清原からの電話を切ると、しばらくして山川から電話がかかってきた。
「社長、山川さんからです。」
「分かった、つないでくれ。」
「波多野さん、クレジットの支払いどうなっているんだ?こっちに電話がバンバンかかってくるんだ。」
「分かってる、直ぐ払うから大丈夫だよ、心配するな。渋谷クレジットか?」
「どこだか知らないけど、とにかくしつっこいんだよ。ちゃんと払っとけよな。それと、金塊の現物はどうなってる。教団本部が、早く持って来いとうるさいんだ。」
「大丈夫だよ、心配性だな。今月中には持っていくから。」
全く、うるさい奴だ。それにしても、渋谷クレジットの清原か、気に入らない奴だ。俺と、山川の関係を疑ってやがる。サラ金の支払いなんかどうでもいいが、あれこれ嗅ぎまわられると、面倒だ。
安宅商事で、山川は波多野への電話を切ると、部下を呼んだ。
「波多野は、多分もうだめだ。こっちに請求がくるくらいだから、自分の支払いもできてないだろう。金塊も用意できないだろう。月末までは、様子を見るが、いざという時には消えてもらわないと。お前ら、あいつを監視していろ。変な動きがあればすぐに知らせろ、いいな。」
部下にそう指示すると、今度は上司に電話を掛けた。
「渋谷支店の山川です。河野本部長をお願いします。」
「河野だ。山川どうした?何かいい報告でもあるのか?」
「いえ、本部長実は、ちょっとまずいことになりそうなので相談なのですが。」
「何だ、話してみろ。」
「渋谷にある、アーリヤ商会なんですが、資金繰りがうまくいっておらず、約束の金塊が手に入りそうにもないんです。」
「それで?」
「それで、どうしたものかと思い相談なんです。」
「お前は、どうしたいんだ?」
「波多野という男がやっている会社ですが、その波多野がサラ金で首が回らなくなっているんです。で、そのサラ金からこっちにまで請求の電話がかかってくる始末で。」
「だから、何だ?どうしたいのか、結論を言え。」
「その波多野が追い詰められて、うちとの関係を色々バラしかねないので、消えてもらおうかと思っているんです。」
「何だ?知られてまずい関係でもあるのか?」
「まあ、金塊の件がありますので。」
「お前が、まずいと思っているのなら、消えてもらえばいいだろう。
但し、教団本部には知られないようにしろ。いいな。」
「分かりました。その時には、本部長にもお力をお借りしたいと思いますので、宜しくお願いします。」
「分かった、その時には連絡しろ。」
山川は、波多野を消す準備を始めた。