「この変化を、戻すことは出来るのでしょうか。」
「歴史を変えることは可能です。この世界には、始まりもなければ、終わりもない。時空間は初めから存在し、過去にも未来にも存在して居ます。ただあなた方の意識がそれを変えるだけです。
あなたは何を変えたいと思っているのですか。その意識の強さ、意志の強さがすべてを決めます。」
「あなたが見た現在は、一つの姿に過ぎないのです。夢と同じです。あなたの意識は何処へでも行くことが出来るし、何をどのように変えるのかもあなたの自由なのです。
しかし、それには強い意志が必要で、何をどのように変えたいのか、それが問題なのです。あなたは、イリヤスを越える意志を持てますか、目的がありますか。」
「もう一つ聞きたいのですが、イリヤスはあなたから、啓示を受けたのですか。」
ジェライルは、少し目に力を入れて答えた。
「私は、イリヤスに会ったのかも知れないし、会ってないのかも知れません。
或は、私の祖先があったのかも知れません。私達は、宇宙を旅しています。私一人ではない、私の祖先もそうです。私達は、あなた方が、植物を育てる様に人類を育てているのです。新しく優秀な人類を生み出し、それがどの様な花を咲かせるのか。それを見て楽しんでいるのです。」
高速道路の下の側道に沿って、地下鉄の駅を過ぎて、左手に歩くと、古びた喫茶店があった。貿易風という名の看板があり、木製のドアを開けると、薄暗い照明は少しオレンジがかっていた。
入り口近くには大きな木のテーブルがあり、その周りを囲むように同じく木製の長椅子があった。奥まったところにはカウンターがあり、穴倉のようなその店の、壁際には、雑然と漫画や雑誌が積み重ねられていた。
その頃、バイト先で知り合った友人とよく、オムライスを食べた。客はあまりなく、静かな店だった。就職できるのかどうかも分からず、勉強もあまりせず、バイトと遊びの日々を送っていた。白髪の少し混じった店主は、無愛想でいつもクラッシックの曲が流れていた。
壁にかかった絵を見て、私は尋ねた。
「これは、船の絵ですか。」
「ええ、そうです。宇宙船なんです。」
「宇宙船?」
「ええ、宇宙を旅するのが趣味なんです。」
店主は、そう言った。
―――― 了 ――――