教団の教えでは、かつて最初の人である原人が悪の魔王と戦って敗れ死んだ後、魔王がその原人の精を宿し多くの人間を生んだ。
魔王は光にあこがれ、原人の光を自らの体内に取り込んだのである。
光の神は、人間の中にある光の遺伝子を取り出し、もう一度光の国を作る為に魔王と戦っている。人間は魔王から生まれたが、その体内に光を宿しているため、悪と戦うことが出来る。
教団の信者となって、光を発現する努力をする事で魔王の支配から脱却できる。教団員は光の国を作るために戦っている聖戦士であるとされた。彼らは光の国をロクザーンと呼んでいた、光輝な国という意味であった。
芦名史人の事務所は、ネット上で評判となっていた。行方不明者もすぐに探し出し、どんな悩みも解決する、というのである。マスターの安倍が、その事務所を訪ねてみようと言った。
私達は事務所を訪ねてみて、驚いた。そこには、居なくなった芦名史人がいたからである。
「君は、芦名史人じゃないか。」
「そうだよ、久しぶりだね。清原君だったよね。」
「そう、僕は清原だよ。君を探していたんだ。今までどうしてたんだ。」
「僕は、もう以前の芦名ではない。あれから色々あって、君たちに心配をかけたのはすまないと思っているよ。でも、余り奇妙な体験なので、話すこともできなかったんだよ。」
「実は、僕たちも君が居なくなってから、不思議なことの連続だった。ここに、安禄山がいる。彼は、今はこの通りまるでプロレスラーの様に、立派な体格だけど。
初めは、君そっくりだったんだ。いや、最初は君だったんだ。それが、病気から回復したら、自分は安禄山だと言い出して、今ではこの通り見た目にも全くの別人になってしまった。
芦名、安禄山というのは唐の時代の人間だ。彼は、その時代の記憶を持っているんだよ。信じられるか?」
「何が起こったのかは判っているよ。人間の心が時空を越えて移動しているんだ。
僕は1300年前の唐の時代に行ったんだ。そこでこのロクサーヌと知り合うことになった。彼女も唐の時代の人間だよ。
君達が、僕や翔の母親を探していることも知っている。僕達だけでなく、今大勢の人が同じ様に、不思議な体験をして行方不明になっているんだ。」
芦名はこれまでの経緯を安倍たちに説明した。