ジームラ・ウントの宇宙船団で。
「総理、使いの者は失敗しました。」
「何故だ、セルナが拒んだのか?」
「いいえ、あの星の者たちが、使いの者を疑ったのです。
彼らは、使いの者たちに反発したようです。そして、あの星にいた人々が、彼らの信仰ゆえに、疑い、敵だと見做したようです。」
「信仰ゆえに、疑うとはどういうことなのか。異なる信仰があるのは当然ではないのか?」
「彼らは、幾つかの信仰に別れて、其々が正義を主張し戦っているのです。」
「その様な事で、どうやって平和を伝えるのだ。」
「昔、ラガシュ王国は、メソポタミアで、隣国と200年戦いました。彼らは当時、和睦すると言うことを知らなかったのです。ラガシュ王国の王が初めて、平和条約を結びました。しかし、その後別の帝国に滅ぼされてしまいました。」
「では、彼らも平和条約を結ぶという事は知っているのだな。」
「はい、条約を結ぶことで争いを防ぐと云う事を学んではいるのですが、問題は狂信者なのです。彼らの中には、死を恐れずに信仰の為に、正義の為に戦おうとする者がいます。
理性的な判断よりも、名誉や誇りという感情を重んじるのです。」
「すると、彼らと共存する為には、その精神を変えねばならないという事か。」
「はい、その精神が問題なのです。文明の力をもってしても、死地へ向かう者を、抑えることは出来ません。その場合、全滅するまで戦いが終わらない可能性があります。
彼らの中に伝わる言葉があります。
『屈辱の中で死ぬならば、せめて何か有益なことをして死のう』
これは、ソグド人がアラブ人に攻撃され、人質となり奴隷となった若者たちが、アラブの将軍を襲い、その後に自殺した、その時の言葉と言われています。・・・」
「それでは、戦えば彼らの星を破壊することになるではないか。」
「地球を観察しましたところ、彼らは大陸の西から東まで、あらゆる所で戦いが蔓延しています。彼らは、戦うことに躊躇しません。それは、これからも変わらないでしょう。
このような星の住民と戦っても、我らは10万人しかおりませんので、戦いは永遠に続くでしょう。」
「うむ・・・。」
「ただ、やはり彼らの言葉で『死を望むものは愚かだ、栄光の中で死ぬよりも、悲運の中で生き長らえ方がましだ。』このような詩もあります。
彼らも、いつの日か平和を優先する日が来るかもしれません。」