セルナ君は、再びシミュレータの世界に行く。
「ティム・テギュンの時空位置情報を特定しました。このホテルの地下のカフェに居ます。そう、その右奥の角の席にいるのが彼です。1時間後には調査団が出発します。セルナ君、準備はできている?」
「大丈夫です。では、これからティム・テギュンの意識に侵入します。」
『これがティム・テギュンの意識か。何も見えない。空っぽだ。何を考えているのか?まずは体を操作できるか、試してみる。ゆっくりと手を動かす。カップを口に運ぶ。コーヒーを飲む。問題はない。』
「オリガさん、ティム・テギュンの意識への侵入は成功しました。体を操作しましたが、問題なく動きます。」
「了解しました。くれぐれも気を付けて、慎重にね。何かあれば、すぐ信号を送って。」
セルナ君は、行ってしまった。無事であって欲しいと思うが、でも一方では何も得られずに終わればいいとも思ってしまう。
私は、どうしても核融合プラズマ砲については危険な気がして仕様がないのだ。何か違う方法がないものかと思ってしまう。
ティム・テギュンの意識の中で。
「私の中に、入ってきた君は誰だ?」突然、セルナに話しかける声が聞こえた。
「そういう君は、ティム・テギュンか?」驚いて、セルナは聞き返した。
「そうだ。私はティム・テギュンだ。断りもなく侵入してきた君は誰だ?」
セルナは、侵入が失敗したのかと思い、焦りを感じた。
「どうして、僕がいることが分かったのだ?」
ティム・テギュンが言った。
「君が答えないのなら、私が調べるよ。ここは、私の世界だからね。・・・君はセルナだね。」
「どうして、僕のことがわかるんだ?この意識は、僕が支配しているはずだ。」
「セルナ・ラガシュ、メサスの神官の家系だね?何のためにここに来たのか、理由を話してくれるかな?それとも、それも私に言わせるつもりかい?」
セルナは動揺した。
『まずい、このティム・テギュンの意識は、全く支配できていない。むしろ、僕の意識が読まれている。』
「君は、僕の意識を調べられのか?どうして、それができるんだ?」
「言ったはずだよ、ここは私の世界だってね。私は遠くの声を聴くことができるんだよ。
この世界には、普通の人には聞こえない遠くの声も、時空を隔てた声も聞こえてくる。
私はただそれを受け入れ、それを求める人に伝えるだけだ。
だけど、君は少し違っているね。君は、この世界に侵入した。つまり私を、攻撃したということだ。だから、尋ねているのだよ、その理由を。」
「いや、それは誤解だ。僕は、君を攻撃するつもりはない。本当だ信じて欲しい。」
「では、もう一度だけ聞くよ。何故、この世界に来たのだ?」
セルナは、どう答えるべきか、迷った。