| ◇<特集>東日本巨大地震を追う―波乱の東京市場(2)=相場の行方、東電がカギ握る |
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| 巨大地震と想定をはるかに超える大津波に見舞われ、東京電力<9501.T>の福島第一原子力発電所で事故が発生。日本の原発史上最悪の事故を受け、放射能汚染や今後の電力の安定供給に対する懸念が株式市場と同社株を襲った。 東電は週明けの11日から大量の売り物を浴び、3営業日連続でストップ安配分となった。東京証券取引所は規定により、17日売買分から下方の制限値幅を2倍に拡大する措置を発表。11日終値2121円から17日安値715円まで約66.3%の暴落で、27年ぶりの1000円大台割れを記録した。17日の売買代金は、完全合致して寄り付いたこともあり16日の57億円から1409億円に急増した。個人投資家やディーラーによる短期売買が中心で「値ごろ感というより思惑が先行した格好」(中堅証券)との声があった。また、「売り買いともに機関投資家から大口注文が入った」(同)こともあり、売買代金が膨らんだようだ。 地震発生から3日目の14日には、福島第一原発の2号機で炉心溶融のおそれが発生、同1号機の建屋が爆発した。世界的な原発建設ブームに見直し機運が出るとの見方が台頭。海外メディアは今回の震災に関し、原発の安全性に焦点をあてて報道している。耐震性に高い評価を得ていた日本製原発の海外商談にマイナスの影響が出るとして、東芝<6502.T>、日本製鋼所<5631.T>、木村化工機<6378.T>などの関連銘柄も売られる展開となった。ドイツ証券では14日付で、「日本の原子力に対する信頼回復の確認が必要」として、日本製鋼所<5631.T>の投資判断を「Buy」(買い)から「Hold」(中立)へ、目標株価を1000円から600円へ引き下げた。 シティグループ証券では14日付で、エネルギーセクターについてリポート。東日本巨大地震を受け、電力セクターでは、短期的には需給調整、長期的には原子力政策などに対する難しいかじ取りが想定されると指摘。夏場に見込まれる最大電力は6000万キロワットで、需要期に向けて電力確保は大きな課題とし、中部以西の電力周波数が東電や東北電力<9506.T>とは異なることや、周波数変換所の能力が3カ所合計で100万キロワットにとどまることから他社からの電力供給には限度があるとした。原子力発電については、低炭素化とエネルギー安定供給の同時実現には原子力が重要であると認識しながらも、今回の震災で新設が計画通りに進まない可能性を考慮する必要があるとコメントしている。 事故をきっかけに東電は信用力も低下。15日に、S&P(スタンダード&プアーズ・レーティング・サービシズ)が東電の長期・短期格付けを引き下げる方向でクレジット・ウォッチに指定した。今回の運転停止は長期間に及ぶ見込みとし、12年3月期以降の業績や財務に対する下方圧力が高まっているとした。東電の場合、原子力発電所の110万キロワット級の1基が稼働停止した場合、現状の原油価格を前提にすると年間1080億円程度の営業減益要因となるとの見方もあり、業績動向も予断を許さない状況となっている。 地震が引き金となった東電の原発事故は市場にパニック的な売りをもたらした。地震から1週間が経過した18日、東電はストップ高まで買われた。事故を起こした福島第一原子力発電所で放水などの冷却作業が本格化したことを受け、状況の改善を見込んだ買いが入ったもよう。ただ、物色の主体が短期資金が中心と見られる。この事故に本格的な終息の兆しが見えるまで、東京市場の先行き不透明感はぬぐえそうもない。 |