徳島から高知に入る。

両県の海岸沿いを走る鉄道、阿佐海岸鉄道。1992年にJR牟岐線の終点、海部駅から10キロほど先の甲浦駅までを阿佐東線として開業した第3セクターだ。開業から現在まで赤字続き。1992年と言えば、既に地方のローカル線を整理していた時代だ。なんで、そんな時代にわざわざ新規の第3セクターを開始するのか不思議だったが、どうやら進路そのものはほぼほぼ完成していたので、なし崩し的に開業したようだ。

10数年前の夏の終わりに乗り行ったことがある。当時はまだJRからの直通列車があり、終点の甲浦まで行ったが、折り返しの列車が数時間後までなく、1つ手前の宍喰駅まで海岸沿いを歩いた思い出がある。

かつては、県庁所在地の徳島から甲浦まで直通列車もあったが、その後なくなり、いつ廃止になってもおかしくない状況にあったが、3年前にJRが牟岐線の先端部ひと駅分、阿波海南駅から海部駅までを阿佐海岸鉄道に譲渡。JR四国にしてみれば損切りしたようなもんだ。

それを受けて、一昨年の冬、阿佐海岸鉄道は、阿波海南駅の少し北にある観光施設、海南文化村から阿佐東線を経由し、宍喰温泉、または室戸岬までを結ぶDMVとして再開業した。DMVとはデュアルモードビークル。バスでありながらモード。転換により線路上も走れるシステムのことだ。まぁいちど試しに乗ってみようと今回やってきた。

まずは宿探し。

過疎化が進む田舎は宿を探すのも一苦労だ。今やふらっと行って宿泊先を確保するのは不可能に近い。何せ人がいかないので、民宿の類はどんどん廃業しているし、ちょっとした施設だとばか高い。正直なところ、インターネットの情報もアップデートされてないのが多く、あてにならない。

現在、阿佐海岸鉄道の出発点は、阿佐海南駅になっている。まずはこの周辺で宿探しをしたが、見つからない。

Google マップで見つけた民宿はもう廃業しているようで、電話をかけるとすぐにきられてしまう。

同じく、Google マップに合った民泊だが、運営会社に問い合わせると現在営業はしていないようだった。

もう一軒のゲストハウスは、個室は予約ずみで、一棟借りは1万円くらいするので諦める。

仕方なく1つ先の海部駅近くでさがす。民宿を一軒見つけたので、観光協会のホームページを当たるが既に案内はなくなっている。もう廃業しているのかなと思ってその「生本旅館」に電話してみた。幸い出てくれた。なんとも愛想のない女性が応対してくれた。週末に空きがあるかをまず尋ねると、どうやらあるようだ。で、「素泊まり？」と聞いてきたので、まずは料金を尋ねると、何故か突然態度が豹変。口調がさらにぞんざいになり、この日は満室、と返事が突然変わった。大金を聞いただけで、宿泊拒否って一体どうなんだ？

続いて、駅前のホテル海部さんに電話。こちらも女性が電話口に出たが、少々口調が荒っぽい。それでも素泊まり5000円で部屋を確保できた。どうやらサーファー宿らしく、週末は素泊まりオンリーのようだ。注文すればお弁当だけは作ってくれるらしい。食事に関しては周辺に食べるところやスーパーがあると丁寧に教えてくれた。最初の早口に少々びびったが、この辺の人はそういう喋り方なのかもしれない。