今回はポイヤックのスーパーセカンド、Chateau Lynch Bagesの紹介です。


Chateau Lynch Bages、英語話者はリンチバージュと言いたくなりますが、フランス的にはランシュバージュといいます。


第五級の格付けですが、カーズ家によるビジネス展開によりスーパーセカンドとされる。

長い改修期間を経て、2022年4月から訪問をまた受付けるようになったとか。では、その長い改修期間で何をやっていたか?


答えはこれです。エレベータータンクです。


醸造プロセスにピジャージュ、ルモンタージュというのがあります。要するにかき混ぜて赤い色を果皮から液体につけましょうぜ、酸素と触れて美味しくしましょうざって作業です。ピジャージュは棒でぐるぐる回してワイン液体を混ぜる、すなわち昔からやっている力作業、ルモンタージュは要はバケツ用意して交互に液体の入れ替えしましょうぜって作業。時代はルモンタージュで、たいていのワイナリーはこれをやっている。

このルモンタージュ、容器を二つ用意して液体の移し替えをするから、この移し替えが大変な作業だ。そりゃこんなでかいタンクに入った液体を、どうやって他のタンクに移すのだろう?

重力にこだわり派は、ポンプを使わず、自力で頑張って移し替える。ポンプを使うと余計な酸素と触れるからだろうか?


で、このランシュバージュは超がつく重力こだわり派。エレベーターを使って液体の移し替えをする。要するに、一杯になったタンクをエレベーターを使い上まで持っていき、空のタンクに注ぎ入れる。

ランシュバージュは、エレベーターを6基持っている。これは最多で、他にエレベーターを持つのはシャトーぺデスクロー。あともしかしたらCos d’Estournelもそうかもしれない。しかし、ランシュバージュは2020年ヴィンテージから初めてこのエレベーターを使うようになったというから、その施設への投資は凄まじい。


画像からはわかりにくいが、醸造室からはブドウ畑が見渡せるようになっている。まさしく働く人たちが一体となって作業ができる空間だ。ちなみにタンクは80個あり、畑の区画も80のため、区画ごとにタンクを用意している。


このタンクにも一工夫があり、このチューブから液体の色を確認できるようになっている。視覚的にも状態をチェックできるようにしてあり、細部にも拘りがある。



セラー室も最新だ。ちなみに樽は樽メーカーから購入。なお、この樽はChateau Batailyなどで古樽として再利用されてるとのこと。


とにかくリニューアルしたばかりなので、非常に近代的。森の中にあるオフィスにきた気分になった笑




テイスティングルーム。ブドウ畑を眺められるようになっている。

ランシュバージュの1stを試飲。非常にエレガントで冷たいワイン。ヴィンテージが2012ではあったが、やはりステンレスタンクで赤ワイン作るのはあまり好きじゃないかなという印象。結論はovervalueなワイン。カーズ家はBagesを村に仕立てあげ、レストラン、ホテル、お土産屋さん、そしてワイナリーと見事に一連のシステムを作り上げている。今回、それに乗ってみたがどうだろう、ワインは同じ第五級のChateau Haut BagesLibéral に負けているかなっていう感想。個人的には、Haut Bages の方が人間味があってエレガントかつ暖かいワインで好きでした。



ちなみに、白ワインも作ってて50ユーロくらい。

お土産屋さんで買えます。


そんなわけで、スーパーセカンド枠としてはまぁこんなもんか、という感想でした。新施設になったので価格も上げるだろうし、買うなら今のうちかと思います。