牧野さんが出演された舞台「ナビゲーション」の千秋楽(9月29日(日))の昼/夜の部を観てきました。

場所は最近よく行っている池袋シアターグリン内”BOX in BOX THEATER。

12名の固定キャストとAキャスト又はBキャスト各5名が脇を固め、12時~の回がAキャスト、16時~の回がBキャストのWキャストの構成で物語が進んで行きます。

■あらすじ(フライヤーより)

男は走る。

男と女と死体を乗せて。

傷害事件を起こして執行猶予中の和真はひょんなことから東京から山形まで、違法だと知りながら死体を運ぶことになるが出発早々、当り屋まがいの女に出会い、道場させる羽目に・・・

こうして始まった二人と死体の珍道中はアクシデントとトラブルの連続。

次々に起こる危機を乗り越え、和真は無事に死体をとどけられるのか!?

物語冒頭に傷害事件を起こした主人公”和真”が手にナイフを持ち返り血を浴びた姿で登場します。

いきなり不穏な感じで始まったのでどうなるのかと思いきや、車で出発して間もなく当たり屋まがいの謎の女(松本梨香さん)が登場し山形まで乗せて行くことになるのですが、物語の中心は遺体を乗せた車を運転する和真と無理やり同乗した女とのやり取り、そして道中色々なきっかけで様々な人たちと会い車に乗せては分かれ、別の事件にも巻き込まれながら家族の元へ遺体を運ぶ途中アクシデントにもあい、そして女の意外な正体が分かると言うもの。

最初はいやいや車を運転していた和真、次第に謎の女とも打ち解けて行く様や色々な勘違いが招く混乱と人違いがとても面白かったです。

遺体役の海老原さんもいい味出していましたね。

そして回想シーンでの海老原さんとその娘役渡辺心優ちゃんのやり取りと、海老原さんが演じてる遠藤さんの人柄とそのお父さんが大好きな娘とのやり取りも効果的な演出でしたね。

冒頭から、色々な伏線が張られていて、しっかり回収されたのも良い演出でした。

大きな舞台装置は本物の車ですが、他に簡素な舞台セットではありましたが、映像と音が効果的に使われて効果良く演出されていました。

途中車のタイヤがパンクするのですが、ちゃんとスペアタイヤに替えられていたのにはビックリ。

車はHONDAの軽自動車”Life”でしたが、4分割して5階まで運び入れたそう。

さすがに重いエンジン等は付いていないでしょうけど、さぞ大変だっと思います。

 

牧野さんは和真の身元引受人で建設会社の社長久保田あやめ役で登場。

出番は少なめでしたが、しっかり存在感はありました。

終演後に牧野さんにご面会。

 

終始謎の女の正体と目的が何なのか気になっていましたが、最後の最後にそれが分かると”やられました”。

そうと分かると夜の部の観方が違ってきます。

各キャストが謎の女との関わりについて、どんな演技をするのかをじっくり見させて頂きました。

これが凄く微妙な演技が求められと思いますし、たぶん演技指導の中でもかなり重要視された部分ではないかと思いました。

皆さん、とても良かったと思います。

牧野さん、キャストの皆さん、お疲れさまでした。

そして笑いと涙の舞台、とても面白かったし、感動しました。

ありがとうございます。

 

=注意= ここからは、少しネタバレ。

この舞台はDVD化されないので見返すことはできませんが、過去に何度か違うキャストで上演されているようですね。

だから今後も場所やキャストを変えてまたやる可能性があるので、知りたくない方はここから先は読まないでください。

 

最近田中由美子さんご出演の舞台を多く見させていただきました。

「ガレキの城のこどもたち」「予約の取れないゴーストホテル」「冥途喫茶」等々。

これらの舞台・物語に共通しているのは、死者が何らかの形で現世へ戻って来ること。

そして最後は天に召されて行くのですが、この別れ際が何とも切なく、しかし感動する場面。

何らかの未練を残したまま死んでしまった人が、残された家族の元へ戻り、そして色々な思い出を残して去って行くのはたまりませんね。

これらの舞台、必ず複数回は見ていますし、しかもDVDも買ってそこでも見たりしていますが、毎回必ず泣けるのです。

そしてこの謎の女ももしかり。

最後の最後まで正体が分からなかったのは、演者さん達の演技と演出の素晴らしさだと思います。

一見謎の女とも会話があるように見えてましたが、見方を変えると実際は会話していない、見えてなかった、そんな微妙な感じにすっかり騙された気がしました。

前述の「各キャストが謎の女との関わりについて、どんな演技をするのかをじっくり見させて頂きました。」はそういう意味です。

自分が複数回舞台を観に行くのは、1回目で物語を把握し、2回目以降で各演者さんがどんな表情・仕草をして演技しているのか?をじっくり観察し、また毎回違う間の取り方やセリフの言い回し等々、1回でも面白いのですができれば2回以上見た方がより理解し楽しめると思います。