夫の膠芽腫が発覚する数ヶ月前、

娘が仕事のため、

約1年半後、

1年間だけ、

遠方へ行く事が決まっていた。


夫は

「そこへ連れて行ってくれ!

 見てみたい!」

とずっと言っていた。


その後、

話せなくなり、

寝たきりになり、

亡くなってしまった。


来月、

娘が予定通り、実家を離れる。


夫は

元気な頃の陽気な姿でふざけながら、

娘を追いかけて付き添って行くと思う。

「守ってあげてね。」

と、夫の遺影に向かって言っている。


今日は、娘の引っ越し準備のための

買い物に付き合った。


途中、娘と不意に手を繋いでしまった。


娘に、

「お父さんって、 

よく手を繋いできたよね」

って声をかけたら、


「ふわふわした手だったよな」と

娘に言われた。


それを聞いて、

夫と手を繋いだ時の感触と

生命線が切れてた手が思い出されて、

不覚にも涙がポロポロ落ちてきた。


娘が少しして気づいて、

私の顔を見て、


「何で、泣くん?」

「ようわからんわ!」

と、冷たく怒られた。


常日頃から、

娘には

「お父さんの嫌だった事、思い出した?」

と口ぐせのように言われる。


嫌だった事を思い出して、

落ち込まないように

する為だ。


サバサバした娘と、

夢に夫がよく現れると報告する息子と、

認知症のおまぬけな母、

そして、

甘えん坊のワンコ2匹に

支えられて、

私は毎日、しっかり食べて、

体重も元通りに戻ってしまった。

当然、足の痛みも元通りに。


この1年間で10キロ減からの

リバウンド。


この1年間、会ってなかった人には、

10キロ減は、嘘だと思うだろう。


夫が亡くなった事実も

嘘だったら、いいのに。


この1年間をテープを編集するように

切り取って

夫に戻ってきて欲しい。


私が元通りに戻ったんだから、

〇〇ちゃんも戻ってよ!

って呟いてしまう。