昨日。
オオサンショウウオの電話を切ってタブレットもスマホも電源を切った。
玄関を叩く者はないので、高ぶったこころを落ち着かせる為にとりあえず電源を落とした。
ゆめをみた。
モト冬樹が宇宙飛行士でわたしは愛人。
というかモト冬樹に夜のお供の関わりのみと断られて承諾した関係。
奥さんは自己主張の強そうな猫目の色黒のでっぷりとしたひと。
私の耳元で奥さんが日常に起きたどうでもいい話をそんなに大きな声でのべつまくなし話しつづけている。
もうすぐ帰還するモト冬樹を気にしているふたり。
モト冬樹が布団の中に入ってきて胸元に手を入れた。
宇宙から帰ってくるとまずそれをする。
それが私の役目。
奥さんははなれたところでさっきと同じようにどうでもいい話を大きな声で喋りつづけてる。
モト冬樹は儀式のようなそれに満足すると捨て去るように奥さんと喋りはじめた。
わたしはモト冬樹が触った胸元の温かみで自分の体温を知るのだとほったらかしにされた胸元をじぶんの手のひらで撫でてみた。
かすかにモト冬樹の感触があるが同じように撫でても気持ち良くないのだと。
ここで目が覚めた。
元同居人とまきすを買ったので、恵方巻をつくって見せ合おうと別れた。
牛蒡はとっくに胃の中にすべて入ってしまった。
夢のあと脳がすっきりしていたので、さっさと着替えて板海苔、生卵、胡瓜、椎茸、人参、明太子、青じその葉っぱを買ってきた。
その前に米を1合洗って固めに炊き上がるようにスイッチを入れてでかけた。
ミツカンのカンタン酢は切らしたことがない調味料。
かんぴょうも桜でんぶも穴子も無し。
太巻きでいいの。
黒柳徹子のYouTubeで見た太巻き容器があれば、初挑戦なれどできる自信があった。
カンタンスウーと入れて左手で杓文字で混ぜて右手で団扇であおぐ。
みるみる照りがでて艶艶。
人参と椎茸は事前団体がくれたかつお本だしつゆと砂糖と牡蠣醤油で甘辛く煮た。卵もふたつ割って砂糖と塩とねこぶだしで甘めに焼いた。
太巻き容器お利口。
恵方巻なんて風習、故郷にはなかった。
いつのまにかはばをきかせて、その日のスーパーは足を運びたくない。
ただの太巻きが倍の値段でも飛ぶように売れてる。
要らん要らん要らん。
元同居人の牛蒡のせいで、おかげで、口が見せ合おうと喋ってしまったので、作らざるえずだが、もう完璧に美味しかった。
青じその葉っぱ(大葉)と胡瓜、甘辛い人参、椎茸、あまーい卵焼き。それとカンタンスウー。
酢飯やばい。
私の手で作るものは想像の範疇を超えないが、今回はちょっと超えた。めちゃくちゃ美味やった。
電源を入れたらオオサンショウウオがキンパの写真を送ってきていたが、見る気になれなかった。文字だけ見てしまったが、写真は開けて見るには未だ胸がもやもやする。
オオサンショウウオから電話がかかってきて、声を出したら案外普通の声がでた。
みたか?
いやみてない。今恵方巻作ってる。
そこで写真を見た。流石売る韓国太巻きおいしそう、、、。
いくらやと思う?
わからん。たかいんじゃろ?
880円や。まずかったで。二度といかん。
私は写真を撮ってオオサンショウウオと元同居人に自慢の太巻きを送った。
恵方なんて見ず、オオサンショウウオとキンパと太巻きの話をしながら笑ってたべた。
ごめんねオオサンショウウオ。
母をおくる過程で他人のことばや先に親を見送ったひとからの心配が鬱陶しかったのを思い出した。
おまえらいいね感傷に浸れて。こっちは24時間苦しみの真っ最中です。私をおかずに浸らないで、と憎悪さえ沸いた。
オオサンショウウオは男だからことばにしない。ことばにするのは僅か。わたしはあの頃の他人。
親を見送るのはつらい。医療には金がかかる。金で余命も変わる。
お金が必要なのはそんなときくらい。もうなにもいわない。オオサンショウウオが言ってきても聞くだけ。オオサンショウウオのなぐさめになることだけしよう。
元同居人はオオサンショウウオとわたしの関わりを下衆なことまで聞くがおいしいとこおしえるわけないじゃんばかたれ。
始発が日曜だから遅いのかな。
今日は5時過ぎてた。
雨が降ってる。
今月の今頃、母は桜が見れるまで生きたいと言っていたが、次の週にはもう逝かせてくれと泣いた。
その次の週、逝った。
春の前の極寒い日、傍に寝ていたわたしに気づかせず静かに呼吸をとめた。
オオサンショウウオのお母さん。。。。