ある日還暦の洒落たおばさんが『わたし、マイケルコース好きなのよね』と笑顔。

還暦で好きな鞄がある不可解と探究心がそのマイケルコースを検索させた。

また悪い癖。

他人に、好きな他人に、今日何が食べたいか尋ねる。

しゃぶしゃぶ、ケンタッキー、ポン酢を食べたいと聞いてどれでもないと、今夜の食べるものが分からない。また別の好きな他人に聞いてもそそられない。ピクリともこない。

冷蔵庫にはシマダヤの二食入りお好みソース焼きそば250円と店の推してるPVの三食入り焼きそば118円がある。レタスと生姜と長ネギの残りがある。他は無洗米。

朝まで眠れず、ごはんをレンチンして牡蛎醤油をかけて食べた。眠る為。

10時に集会と面談の予定をお断りして安堵したがそれでも熱っぽさはあってこの時間まで寝ていない。

インソムニアってどういう人をいうのだろう。

朝、姉からのメールで義兄の頭にできた発赤はやはり帯状疱疹だったことが判った。この数年間で何度も入退院してる兄は免疫力が落ちていて、ままならない人生に不眠がかさなりコロナ退院後、また違う病。

眠れない辛さの克服方法は巷のオススメであれこれ聞くが、不眠の直し方は身体が知っちゃあいる。

できたらね。

のしかかった現実が眠らせないのだからオススメの方法は机上の空論。私は義兄に帯状疱疹って判ってよかったですね!おつかれさまです。といって早々に電話を切った。

自分の不眠からくるきちがいじみた行動にわかったふうな口を利く人間いらない。

姉を通じて眠剤もすすめてみたが、精神薬に無縁のポパイのようなタフさで生きてきた義兄の身体つまづきに、ただでさえ持病となった薬の量の多さでめげている人にはハードルが高すぎるらしい。

姉から義兄には伝わらない。

いよいよの時は直接話してみようと思う。

人間は無垢で生まれて家族や周辺の大人や環境が人格を作る。

親ガチャなんて認めんが、環境は認める。

何故そう考えるのか、何故やめられないのか、それが自分を雪隠詰めにすると自分自身が知らないわけがない。

けれどそれで個として60年余り生き続けてきた人が道を外すことはほぼ不可能。

できるとしたら病の進行だろう。


私はあきらめてる。この肉体の、この脳の、私の人生を。

諦めないでといえるのは恵まれた病の進行に変わる、マネーだ。つまり宝くじで大当りするしか開眼はできないと、思う。

今日何を腹に容れるかまったく決まらない。レタスとポテトサラダ?

ポテトサラダは私が作るのがいちばん旨いがめんどい。店のなんかまずくて食えない。だからレタスと、、。わかんない。


今日の集会と面談を断って現実が宙を浮く。参加したメンバー達を想う。そして行われたであろう状況も想像する。

想像は重力をもたずいじけてる。もう一回この集会がある予定だが不参加にしたい。

理由は先導者のアプローチが私に合わない。

ある回でDV夫を罵倒し、殴りつけて、日差しの強い窓を開けて吊した。夫は太陽に焼かれて吊されてどんどん萎んでいく。

自分を蹂躙しつづけた夫はもはや力をもたない。


私は木に吊された父の亡骸を今も、今日のように思い出せる。

DV夫でも吊していいんか。

けれど黙っていた。

私個人のことと集会はみんなのものだから。

とにかくその時にこれは合わないと、思った。

目の前に生身の夫がいて、それが誰の夫でもパートナーでもいい。みんなの円の中心に座らせて、みんながおもいおもいの言葉で音を発っせられるなら本当のカタルシスはあっただろう。

そう言葉にした。

見えないイメージは私にはできなかった。

まして吊すなど。

ということで怠け者になった。熱も37℃ちょいある。

現実はイメージの何万屯重い。

ふりはできない。


ぶっ殺してやりたい、夫は私をそう思い生きてるはず。

夫はイメージで勝てる人間じゃない。有言実行する。

あまっちょろいアプローチは傷を膿ませても、不愉快と絶望の確認しかできなかった。