田舎の義兄がコロナで緊急入院となり、同居する姉も濃厚接触者でありつつ別屋で暮らす義父の食事の面倒も見ている。
その義父も濃厚接触者となって昨日から微熱をだしていると言う。
義父は長年の仕事の影響で、肺機能がはたらかず24時間酸素ボンベ生活を強いらていて、かつかつ生きている状態。
むろん仕事は引退してる。
酸素をつけても息苦しそうにしている義父がコロナに罹患したらおそらく死ぬと思う。
姉はストレスが極限状態で毎日私と電話で話すのだが、ヒートアップしわたしが何か悪いことをしでかしたように怒りを音で示す。
毎日話すことが姉の息抜きになればと思って電話を受けたり、時に私から姉の体調を尋ねる電話をかけた。
でも、いつも怒る。
お金の話と自分が如何につらいかを、私に言葉を投げつける。
まるで私が姉の怒りの根源のように。
私は昨日黙ってしまった。
姉の怒りの語調に涙が落ちた。
所詮アンタは他人事なんよ。
そう言われた。黙っていた。
黙っていても姉は怒りを続けた。
黙っていた。
そして、うちも風邪っぽいし電話切るね。と、お姉ちゃんもゆっくり寝て明日(義兄の退院)に備えて、と言うのがやっとだった。電話を切ったら涙が溢れた。感情が怒りで溢れてこぼれ落ちた。
私が夫に殺されるほど暴力を受けた日、夫が犯罪を犯していると知った日、姉に電話した。
姉は話を一通り聞いて、自分が如何に苦しく大変な生活を送っているかを倍返しのように話した。
姉は私ほど私を思ってはいない。
親友もそう。どうして孤独になりたいの?とオウム返しのメールに、何故こんな役立たずにメールを返さなくちゃいけないのだろうと腹が立った。
孤独になりたい理由は、メールじゃ物足りないから。
関係が正常だった頃のような支配下におかれたていは、愛がないから許せない。
昨日夜死にたかった。今も死にたいが死ぬわけがない。
私はまたも、姉に親友に侵入されていた。侵入されてもいいが、一方的なのは支配そのものだから冷静に還ろうと昨日思った。
だから黙った。
返す言葉より黙ることが慣れているからも、ある。でもどう考えてもキチガイじみた怒りの矛先を私にすべてぶつけて挙げ句罵られて。合わせ鏡のように電話ごしに黙った。それが怒り。
姉をやりこめる言葉はある。
でも黙った。一言声を出したらたたきのめしてしまいそうで、姉の合わせ鏡になって姉に考えてもらいたかった。
でも、わかってる。
姉は私を利用してる。それも許す。許したい。
今日母に形見に生前もらったネックレスが切れた。
重たい母のネックレス。母はいつもこどもらをどこからか見ていて聞こえない声で怒ったり励ましたりしてくれてる。
聞こえるから、いいよ。許す。
しばらくネックレス外しておくよ。なおさずね。
母の生前からずっとつけつづけていた。
シャワーを浴びたら身体が洗いやすかった。
いつも首周りはそっと洗い怖かった。
あのネックレスが首にあるうちは守られてると信じられた。
今はなくても私はさみしくない。
母が見守っていることはわかる。
だから死なず、そう、まだもう少し、先。