お久しぶりです。
今週やっと第14回日本バッハコンクール全国大会を終えて冬のシーズンも終わりです。
生徒たちは春に向けて新たな気持ちで前進し始めました。
全国大会では四人の生徒が見事にそろって金賞をいただきました。
バッハの演奏はごまかしがきかなくて難しいです。
理論的な面が出すぎると音楽的に淡泊に聴こえてしまったり、歌わせようとしてバロックの様式から逸脱したり…、学習途上にある子供たちには扱いにくいものの一つでもあります。
でも、バッハをきちんと学ぶことで音楽の土台を築くことができます。
小学1,2年B部門では小2のМちゃん、小学5、6年C部門では昨年に続き二年連続で小6のEちゃん、中学B部門では中1のHちゃん、一般A部門では社会人のAさんがそれぞれの目標設定のもとにがんばり金賞をいただくことができました。(^^)v
小2のМちゃんは昨年も同じ部門を受けましたが、まだぐるーぷМに移ってきて間がなかったので演奏方法がよくわかっておらず、全国大会には進めたものの、全国では無賞でした。今年はブルグミュラーコンクールファイナルでも金賞だったのでバッハコンクールでも入賞したいというのが本人の目標でした。
曲はあえてカンタービレ奏法の難しい曲にしました。
リズミカルなカノン形式の曲は去年も学んだし、「苦手な分野を強化したい」という指導側の私の考えにお母さまが理解を示してくださって「あえて歌うことのわかっていないМにこの曲を学ばせることが今後につながると思います。」と言ってくださいました。
結果ばかり求める親御さんだとどうしても形になりやすい曲、本人のタイプに合った曲を選びたがります。
長い目で子供の成長を考えてくださるお母さまは貴重です。
あえて苦手なタイプの曲を選んで、結果的にかなりの高得点でМちゃんは金賞に入りました。
小6のEちゃんはもともと表現意欲の強い子でした。でも、どちらかというと【音】でなく【身体のフリ】で演奏してしまう傾向が有り、これを何とか直してゆかないと…というのが私の考えでした。
本人もお母さまもそれを理解してくださって指導にくらいついてきてくれました。
去年は本人の得意な歌う系の曲を選んで金賞でした。
今年はあえて機械的な正確なメカニズムが無いとこなせない、歌でごまかせない曲を選びました。
最後までかなり苦戦しました。本番の日の朝、理想的に弾くことができて笑顔で送り出しました。
ところが緊張でテンポが速くなってしまって…曲の構成というよりも流れに身を任せるといった演奏になってしまいました。
本人もそれがわかったので、演奏後は悔しくて泣いていたそうです。
でも、審査員の一人がEちゃんの演奏の内容を高く評価してくださり高得点をつけてくださいました。
「よく練ってあり深く研究してありましたが、わざとらしさのかけらも感じられず大人の演奏でした。自然で端正で色彩豊かな音色感も有りみごとな演奏でした。」と。
努力すると作為的な演奏になってしまうこともあります。
そこを一歩越えられていたことをみとめていただけたということに私もEちゃんも大変励まされました。
これを契機にEちゃんは益々変わって行けると思います。
中1のHちゃんは陽気で気の良い子です。ノリノリで楽しく弾くのが大好きです。
頭で理解して耳で判断して曲を組み立てる…というのはどちらかというと苦手です。
なのでシンフォニア12番で徹底的に自己をコントロールすることを学ばせました。
いつもあと一歩というところで何かしら問題点を露呈してしまって昇りつめたことがありません。
でも今回は最後まで粘りました。そしてやっと手にした金賞でした。かなりの高得点でした。
これを自信に更に深く取り組んで行けるといいなと思います。
社会人のAさんは子供時代から個性的な演奏をしてピティナピアノコンペティションでは全国決勝大会にたびたび進出していました。
大人になって一時期ピアノから離れていましたが、仕事にも慣れてきてピアノを再開しました。
ところが…子供時代には記憶に問題が生じたことは無かったのに再開したピアノでは【緊張すると頭が真っ白になってしまい暗譜がわからなくなる】という状態に舞台で陥るようになり、それがトラウマとなりよけいに暗譜が苦手になってしまいました。
バッハコンクール一般部門では楽譜を見て弾いても良いということになっているので、予選は楽譜を見て弾きました。
「全国大会も見て弾いたほうが安全かも…」と本人も言っていましたが、最後の最後に「自分に挑戦しよう」と決めて暗譜で弾くことにしました。
緊張で完成度はいまいちでしたが、それでも彼女の個性は光っていて金賞に入れました。
みんなそれぞれに自己の目標を持ってコンクールに参加します。
前進のためのモチベーションにもなるので大変だけれど楽しんでいます。
そして結果が出た時にはおおいに励まされるので、それが次への意欲につながって行きます。