ポーカーの熱気に漂う人達 | Georgeのブログ

ポーカーの熱気に漂う人達

六人のファイナリストの中でマリは最初から異様な妖気を漂わせていた。まず普段は見られないハーフトーンのサングラスで座る。ボロ勝ちの緒戦、3人に絞られた頃から、一転じりじりと追われて、チップのヤマが半減する。しかし、何回かのオールインを度胸で張ったマリは最後に2人だけの勝負になる。チップを指で鳴らしてマリの長考はつづく。相手もさるもの、3枚のカードを開く前の勝負が本当の勝負とばかり、大きいレイズを繰り出す。最後の2人の勝負がこんなに長いとは知らなかった。目を伏せ、やや斜に構えるマリは普段とは別人のような不気味さを漂わす。遂に相手の最後のオールインで、出たカードの目が僅差落ちで押し倒す。とうとうやった。本当にアメリカのWSOPに行くんだ。門外漢の私にとって、初めてのビッグなポーカー選手権大会に興奮した日曜日だった。


あまり縁のなかったポーカーの熱に最初に触れたのが3年前のニューヨーク・トイショウだった。USPCのスタンドが異常にカジノ・テーブルの展示等でポーカー一色。なんとなく、話題は聞いている程度が、スタンドを見る限り社運を賭けるようなポーカー寄りの姿勢に、ふーん、そんななんだという気持ちだった。

それがほぼ4年後の自分が日本で、世界でもお墨付きポーカー用カードを扱うとは思わなかった。新宿ハンズには荒川静香のあれですよとカードをそっくり返して、しなやかさをやってみせる。全く縁のなかったブラジルとのメールが増えたのも今年の変化かな。


今年、アメリカからの帰りのフライトで、隣りの男が友人を呼んで、急にふたりでチップをきゅっきゅと鳴らし、長時間試合を始めた。こういう所での遊びに迄広がったポーカーなんだなと実感したひと時だった。ラスベガスが、マカオが、という話しが行き交うなかで、特別にそんな所に行くことなく、こういう遊びを身近に見ると、本当に「遊びはファッション」なんだなと思う。


面白かったのは、小柄な上品な50代の奥様だった。大会でのグッズ売場にやってきて、8人用のかっこ良い、ポーカー用テーブルをさかんにいじっている。あとで主人を連れて来るわね、と言い残して去る。大会が終わる30分前、似合わぬ大男の主人らしいのをひっぱってやってきて、2万円のプレゼントをさかんにねだる。抵抗すること15分、最後に奥様の手を強引に引っ張って帰っていく。彼は奥様のエレガントな“男ヌキのホームパーテイ”でのディーラー・ホステスのかっこ良い「遊び」を知らない情けない男なんだ。