のどかが、千里の胸に手を当てて言った
「ねぇ、まだここだけ温かいよ…」

手足は、冷たいのに 胸だけは、温かい…
いや熱い…
これって…腫瘍熱?
…なんて奴等
憎らしい奴等…
バカな奴等…
早く消えてしまえ!




それでも千里の表情は、不思議と穏やかで
苦しさも辛さもない

「今日は、このまま千里とゆっくり過ごしたい…大丈夫ですよね?」
と菜花先生に聞くと、

「気候的に問題は、ないと思いますよ
今日は、千里ちゃんとゆっくりして下さい。
それがいいです」


菜花先生も、そう言ってくれたので
急いでお別れしなくてもいいんだって
すごく安心した

菜花先生が、帰ってから暫くすると…

階下から、パパに呼ばれ

パパ:
「おい!葬儀屋に電話したからな
もう少ししたら、打ち合わせに来るからお前の……」


!!( ̄□ ̄;)!!


「な、なんで!
さっきまで、せんり…生きてたじゃん!
菜花先生だって、今日は、このままでいいって言ってた…
…なんで急ぐ必要があるの?
葬儀屋さん来たって知らない…帰ってもらってね!
…今日は、千里と
普通に過ごせる晩なのに… 」


その後暫くしたら
葬儀屋さんが、来たらしく階下で何やら話をしていて

葬儀屋さんが、申し訳なさそうに
「…
ドライアイスだけ置かして下さい」
と言って来た

ママ:「ドライアイスを置いたら、この仔(プー)どうなります?
それに…今晩は、私同じ布団で寝るつもりですので… 」

プーは、千里にピッタリくっついて離れない
身動きひとつしない

葬儀屋さんは、プーを見て
「…凍ってしまいます…」


「だったら入りません」
とキッパリ断り

もう帰って下さい的オーラーを放つも…
相手も退かない…

「では…お腹の部分にひとつだけ…」

といい結局ドライアイスをひとつ、お腹にのせて帰って行った


もう…なんだよ…


リビングに降りると パパから、会場の予約をしなきゃいけないから予定を決める様にと言われてしまい


どうしても千里を、家から離したくないママは、 自宅の直ぐ裏にある、小さな自治会館を借りる事に決めた


千里の部屋に戻ると、のどかと美容師の卵のユウタ君が、千里のメイクの真っ最中

やれチークが濃すぎるだの、口紅の色は、コレだの賑やかだった

爪は、可愛くネイルアートされていて
千里は、嬉しそう