昼間、一時的に下がった熱は、夜になってからどんどん上がり始めた…


SPO2は、不安定で
すぐに警報が鳴ってしまう

この警報音聞くと
すごく焦る
落ち着いた行動が出来なくなっちゃう…

なので
バツパに、警報音切係を任命

ピロロン~♪ピロロン~♪と警報音が鳴ると
バツパが直ぐ様、消音のボタンを押す
この繰り返しだった


千里のシーツが濡れてしまい、取り替えなければならない

のどかは、シーツを取り替える事に、反対していた
…それは、
千里を少しでも動かすと、またSPO2が下がって、呼吸が上手く出来なくなってしまう…


…でも濡れたままの訳には、いかない


よし!シーツをハサミで切ろう
濡れた半分を、切ってしまえばいい

みんなで、そーと千里の身体を浮かして
半分に切ったシーツを引き抜いた…

上半身は、そのままのはずが…やはり微妙に動いてしまい
警報がなる


「だから、言ったじゃん!!!」
のどかが、
また一生懸命に
千里の顔の向き、
背中の位置など整える

でもなかなか、警報音は止まない

「もう!もう!だから動かさないでって!……ちゃん…ぁぁ…
もう!…………ほら(SPO2)戻らなくなったじゃん!…………」


のどかは、バタバタと階段を登り二階にいってしまった


のどかが行ってしまった後、ママが千里の呼吸のしやすい位置を探す

千里の呼吸をたすける為に、リザーバーマスクを手で押しながら…

でも上手く位置が決まらない

やっぱり、のどかじやないとダメだ…

二階に上がり、
のどかに声をかける
「ねぇ…ママよりアンタの方が上手いんだからさ、やってあげてよ…」

のどかは、部屋で泣いていた…
目を真っ赤にして
ママに、文句を言いながら
千里の所に戻って来た…

…のどかが、千里の姿勢を整えると…
SPO2は、安定して落ち着きを戻してくれた


千里は、必死に生きようと呼吸を
している

千里の目から溢れたひとすじの涙が、

生きたい
生きたい…と
訴えていた



2010.10.31