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財界「世界を見る眼」 2005年1月25日号より
 
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2005年度予算の財務省原案が固まった。 国債発行残高は538兆円。途方もない数字だ。
 
アメリカも巨額の財政赤字だ。ブッシュ大統領は、議会に対して拒否権を発動せず、これまでの歳出法案は全てノーチェックで通してきた。それに、千億ドルを超えるイラク戦費が重なる。歳出はどんどん膨らむのに、歳入の方は高所得者向けを中心に気前よく減税した。財政赤字が増えるのも無理はない。クリントン政権の下で大幅な黒字に転換したのに、ブッシュ政権はそれを食い潰し、史上最悪の4200億ドルの財政赤字を作り出した。減税の多くは時限措置だから、財政赤字は2012年には大幅に改善されるはずだ。しかし、アメリカ政治はこの減税を恒久化する方向で動いている。そうなると、議会予算局の試算では財政赤字は11年以降に急拡大し、10年代を通じて5千億ドル台が続く。
 
日本はアメリカを批判することはできない。GDP比でいけばアメリカの財政赤字は日本よりずっと少ないし、アメリカの減税措置は景気回復を狙ってのものだ。レーガノミックスの下でも大型減税と、「小さな政府」の実現と、思いきった規制緩和政策。この結果、アメリカはその後92ヶ月にわたる連続成長を遂げた。サプライサイドエコノミーの成果だ。今の経済政策も基本的にはそういうことだ。
 
残念ながら、日本はそうではない。大幅な規制緩和も小さな政府も程遠い。財政赤字はアメリカと違って、将来のリターンに結びつかない。歳入48兆円から国債費18兆円を引いた30兆円が国としての可処分所得だが、このうち実に20兆円が社会保障関係費だ。 

産業インフラ構築や大規模な研究プロジェクトにカネがまわらないから、国が活性化しない。子供たちはゆとり教育とやらで、円周率を3と覚えるだけだから勉強もしない。気楽な社会である。巨額の国債を発行するしわ寄せはどこかに現れる。贅沢な年金制度が将来の世代の貯蓄を食い潰していること、都市部の発展だけで地方がさびれてきていること、国際競争力が劣化していることなどにすでに現れている。
 
日本の1990年代は「失われた10年」ではなく、生活を便利にするための10年間だった。若者たちの遊び場はどんどん増えた。失業してもフリーターとして税金を払わずにかなり快適に暮らせる。友人が嘆いていた。「日本の若者にシリコンバレーのベンチャー風土を経験させようと手を尽くして留学の手伝いをしてきたが、すぐに文句を言い出して帰国してしまう。メシがまずい、遊ぶところがないと」
これでは、日本の若者が国際競争に勝てるわけがない。日本の抱える深刻な問題は、財務省主計局の予算配分というレベルで対応できるものではない。我々が暮らしを変えるか、社会の不平等をもっと許容するか。 

結果は見えている。日本が世界の全く新しいパラダイムの社会主義国家となっていくことだ。それもいい。だれも大怪我をしない。だけど今のうちだけだ。高いツケはすぐ払わなければならなくなる。
(以上転載)





アメリカは減税による景気回復を是とし、実際に施行して成功しているではないか。
 
記事が古く、最後の方の社会主義国家うんぬんの辺りが、勉強不足のせいか私には理解出来なくて申し訳ないが…。
 
 
四十余年の人生で、こういう事をあまり考えたことが無かった私のような者が、「マクドナルドを見習え」などと偉そうなタイトルをつけてしまったが、減税して景気回復を図って、税収を増やす事こそが、今の日本に必要なのでは?というのは素人考えでしかないのだろうか?