2011年6月3日参議院予算委員会集中審議より
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山本一太:先ず最初に、菅総理に申し上げたいと思います。
わたくしは、この数日間の内閣不信任案決議をめぐる動きをずっと見ていて、一言で言うと狐につままれたような気がしました。
何が起こってるのかよく分からなかった。
国会で活動してる私達が全然分からないんですから、恐らく一般の国民の方々には全く理解出来なかったという風に思います。
一国の総理にこういう表現は大変申し訳ないんですけども、今回あなたが、自民党と公明党とたちあがれ日本が共同提案をした内閣不信任決議案を否決する為に使ったやり方は、これは一言で言うと政治的な詐欺じゃないですか。
これは政治家として、人間としてましてや、政界の日本のトップとしては、わたくしは絶対に使ってはいけない卑怯で姑息なペテンだと思いますよ。
これを先ず、一言総理に申し上げてから、質問に移らせて頂きたいというふうに思ってます。
総理は、内閣不信任決議案の採択をした衆議院本会議の前の民主党の代議士会でこういう風におっしゃってます。
「大震災に取り組むという事に一定の目処がついたわたくしの役割が果たせた段階で、若い世代の皆さんにいろいろな責任を引き継いで貰いたいと考えている。」
総理はこうおっしゃいました。
それを受けてマスコミは一斉に、
「総理は退陣の意向を表明」
と報じました。
殆どのマスコミ、全てのマスコミが、こうやって報じました。
与野党の議院も全く同じ認識だったと思います。
先ず最初に総理にお聞きしたいと思うんですね。
この通りでいいんですね。総理はあの代議士会で、退陣表明をした、辞意表明をした、こういう事でいいんですね。
はっきりお答え下さい。
菅直人:先ず、昨日衆議院で不信任決議案を野党の皆さん中心に出されまして、結果としては大きな差で否決をして頂きました。
わたくしはいろんな意見はありますけれども、殆どの国民は今、震災復旧復興に国会が一丸となってやって欲しいという思いの強い中で、こういう事態に立ち至った事は、もちろん、わたくし自信にも不十分な点があった事は反省しておりますが、国民の皆さんの国会に対する期待に応える事になったとは思っておりません。
その点は国民の皆さんにもお詫びを申し上げたいと、このように思っております。
そして今、山本議院の方から、何かわたくしがペテンに掛けたような言い方をされましたが、そういう表現をされるのは、わたくしは適切ではないと思っております。
つまりは、どういう事実を持ってそういう事を言われているのかも言わないで、ただ言葉を投げ付けるというやり方についてはわたくしは決して望ましいとは思っておりません。
わたくしが昨日の我が党の代議士会で、発言をした事、これは公開の場で発言をした事でありまして、全ての参加をした我が党代議士あるいは、マスコミの皆さんも、聞いておられる通りでありまして、それは今おっしゃったように、
「わたくしとしてこの大震災に取り組む事が一定の目処がついた段階で、わたくしがやるべき一定の役割が果たせた段階で、若い世代の皆さんにいろいろな責任を引き継いで頂きたい。
この大震災・原発事故に対して、一定の目処がつく迄は是非ともわたくしに、その責任を果たさせて頂きたい。」
このように申し上げました。
まさにこの通りの事を考えているという事でご理解下さい。
山本:今の総理の答弁をテレビで見た方は、本当に総理がいつものように逃げたと思ったと思いますよ。
私は退陣表明なのか辞意表明なのかって聞いたんです。
結局総理答えてないじゃないですか。
どうしてそんな曖昧な言い方するんですか。
私、昨晩9時からのあなたの記者会見みて唖然としましたよ。
時に笑顔浮かべながら、時に不機嫌な表情で質問をはぐらかす。
あなたの口から退陣の「た」の字も、辞任の「じ」の字も出て来なかった。
あの記者会見みたらまるで、続投に意欲を示していると、そういう口ぶりだったんですよ。
その事を受けて昨日は、全てのマスコミが「首相、退陣を表明」と打ったのに、今日になって一斉に「総理、早期退陣を否定」「総理、年明けまで続投意欲」って報道してるんです。
先ず、退任するっていう事はですね、世界中にニュースとして回ってますから、一日でこんな事になったら国際的信用ゼロですよ日本のリーダーとして。
これ、どういう事なんですか、もう一回聞きます。
総理は辞意を表明したんですか、退陣を表明したんですか。
それだけ答えて下さい。
菅:先程も申し上げましたが、わたくしは公開の席で、先程読み上げた通りの事を申し上げたんです。
決してわたくしは、そんなに、何かこの、分かり辛い言葉を使った訳でもありません。
素直に理解をして頂ければ、わたくしの心情はわたくしが話した事の中に表れている訳でありまして、それをメディアの皆さんがどういう表現をされるかという事まで、それをわたくしが、どうこう言う立場にはない。
こう思っております。
山本:総理全く答えてませんよ。
全く答えられないっていう事が、わたくしは、全てを語っていると思います。
しかもですね、昨日の会見、ライブで見せて頂きましたが、あなたこう言いました。
「東電の行程表で来年の一月としている原子炉の冷温停止」
これ、所謂行程表ステップ2ですよ。
「この完了迄は私の責任だ」いう意味の事をおっしゃったんです。
という事は総理、来年の一月までは辞めないってことじゃないですか。
もう一度聞きますが、昨日の総理の言葉は、辞意を表明したってことなんでしょうか。
お答え下さい。
来年の、総理が昨日の記者会見で言った、それとも、一月迄は辞めないってことなんでしょうか。
YESかNOかでお答え下さい。
菅:物事ですね、正確に表現をお願いしたいと思います。
今ですね、わたくしの、今度は夕方…まあ夜でしたけれども、記者会見のわたくしの言葉をですね、いろいろマスコミがとらえられている事は事実ですが、ここに議事録が出ております。
記者の方がですね、先ず
「原発事故に関して話しも出たが、避難民の自宅への帰還を首相は見届ける考えか」
と聞かれたので、
「見届けということですか」
という事ですかと言ったら
「はい、首相として帰還迄」
という事を聞かれたので、それに対してわたくしがこう答えたんです。
「先ず行程表で言いますと、ステップ2が完了して、放射性物質の放出がほぼ無くなり、冷温停止という状態になる。その事がわたくしは、この原子力事故の正に一定の目処だと、この様に思っております」
と、この様に答えたんです。
つまり原子力事故について、この後もありますけれども、帰還をされるかどうかという事は先ずはステップ2が完了した時点でモニタリングを行ったり、除染を行って、それでどの地域については帰れる帰れない、どういう時期になら大丈夫という事は、この委員会でも何度も申し上げておりました。
そういう趣旨の質問が記者の方から出ましたので、今のようにお答えをしたんで、これが、事実以外の何物でもありません。
山本:酷い。
総理の答弁は本当に酷い。
辞める、ある一定の目処が立ったら辞めると、総理はおっしゃった。
その目処は何かって言ったら、原子炉の冷温停止だとおっしゃった。
じゃ、それ違うんですね。
それじゃ、来年の一月迄はやらないんですね。
いや、もう驚きますね。
総理は、マスコミの方がどう報道しょうと、総理のおっしゃった事が事実だっておっしゃいましたけれども、見て下さい、夕刊、これ号外ですよ。
「号外・菅首相、辞任の意向」
号外ですよ、全部。
これもカラーの号外ですよ。
で、これも、夕刊のですね、全部
「菅首相、辞任の意向」
「菅首相、退陣の意向」
これは、そのまま世界を駆け巡るんですよ。
一旦こうやって、総理が辞任を表明したという事を、日本の全てのメディアが世界に向かって報道したら、あなたはもう、総理大臣として完全に「死に体」「レイムダック」になるんですよ。
もう、国内的にも国際的にもレイムダックですよ。
辞めるって分かってる総理と、何処の首相が真面目に外交交渉やるでしょうか。
もう一言言います。
内政でもそうです。
復興基本法。
書いてありますが、復興庁を中心とした大筋は、これ合意されました。
早ければ来週にもやれるし、私もやるべきだと思ってます。
でも私達は、赤字公債の特例法、二次補正、こういう事はもう辞めると分かっている総理とはできませんよ。
総理に辞めて頂いた後の次の人とやるんです。
だから総理、一旦退陣ていう事を口にして、それが報じられたら、もう総理の求心力は大きく下がるんです。
マスコミがどう報道したか関係ないっていう問題じゃないんですよ。
もう懸案の処理は無理ですから、辞めるとおっしゃるんなら期限を切ったらいかがですか。
期限を切って退陣すると今言って下さい。
菅:どうも、山本議院のお話しを聞いていると、マスコミが言ったからこうだとか、言わないからこうだとかで言われてるんですね。
わたくしは自分が、公の席、しかも代議士会というきわめて重要な席で、わたくし自信が発言した、あるいは、言葉に出した事をわたくし自信が否定した事は一度もありません。
ですからわたくしは正に言った通りの事を、正に申し上げた訳でありまして、その事を前提でご理解を頂ければ結構です。
山本:昨日まで総理は、退陣を表明してたという風に報道していたマスコミは、総理は続投に意欲っていう風に書いてるんですよね。
これがどっちかっていう事によって大きく変わるんです。
今総理が答弁で、ただの一言も、辞意とか、退陣とか言ってません。
という事は総理は退陣するつもりが無いってことなんですよ。
もうそれ以外考えられませんよ。
マスコミ報道によると、わたくしのところにもいろいろ情報が来ましたが、昨晩、いや今朝まで、内閣不信任案決議は、可決される可能性があったと言われてます。
私が直接得ている情報でもギリギリの攻防だったと言われてます。
だって実際、鳩山前総理とか原口総務大臣迄が賛成に回って、テレビカメラとかペンの前で、賛成を公然と語る民主党の議員の方々も相当いたんですよ。
今日、この委員会に出席をお願いした三人の副大臣と二名の政務官も、恐らく不信任決議案に賛成する覚悟を固めたから、わたくしは辞表を提出したんだと思いますよ。
最初80名前後の勝負って言われてたのが、造反2名欠席15名です。
一度賛成すると決めた人達が、恐らく断腸の思いで賛成に回ったんですよ。
それは菅総理が退陣すると思ったからじゃないですか。
もしあなたが、退陣表明だとはっきり言えないとしたら、今日のように退陣の時期さえ言えないとしたら、それは総理「詐欺」ですよ。
一種の。そう思いませんか。
森ゆうこさん米長さん、そう思いませんか。
詐欺ですよ。
それでは、今日わざわざ来て頂いた、大臣の方々にお聞きしたいと思います。
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②に続く…。