森ゆうこ:先ず、本当に原発は安全だったのか、安全に運行されてきたのか、ということについて東京電力さんに伺いたいと思うんですけれども…。
「流量データの不正事件」そして「制御棒のヒビ割れ事件」というのがごさいました。
これについて伺いたいと思いますので、経緯を教えて下さい。
東電清水社長:只今のご質問であります「制御棒のヒビ割れ」そして「流量計データ不正」という問題でございます。
お答え申し上げます。
制御棒、ご存知の通り、たいへん、原子炉を止める需要な機器でありますが、しかしながら2006年に、福島第一原子力発電所の3号・5号・6号、そして柏崎刈羽原子力発電所の2号機・6号機におきまして、ハフニウム板(いた)を使いました制御棒にヒビが確認されました。
尚、ヒビが発生した原因は、中性子の照射によってハフニウム板が伸びまして、腐食割れが進展してきたものだと考えられます。
このようなヒビを考慮致しましても、地震時において止める機能に問題はないということは、評価・確認されております。
また、本事象に関する調査結果につきましては、原子力安全保安員へご報告も致しており、保安員からも安全性に問題がないという評価も頂いております。
その後でありますが、このタイプの制御を使用していたいずれのプラント・号機も、現在は他のタイプに制御棒を交換致しております。
それから、もう一点であります、原子力の流量計の件でございます。原子炉の給水流量は、原子炉で発生する熱量を算出する為に大変重要なデータということであります。
しかしながら、2006年に、原子炉への給水を計測する流量について、メーカーによる据え付け前の流量試験において、データの不正が確認されました。
これに対しまして当社は、当該流量計の、製造記録あるいは過去の運転データを評価し、法例上あるいは安全上は問題ないということを確認致しまして、原子力安全保安員へも報告致しております。
従って、当該の流量計は交換致しておりません。
また、当社は不正行為には関与していないということも、あらためて確認させて頂いております。
経過は以上でございます。
森:交換してないんですね。
皆様のところに資料をお付け致しました。
図解したものを見て頂きますと、総理はたいへんお詳しいようですけれども、私は完全に文系ですので、良くわからないながらもですね、このプラント系統図を見ますと、この流量計が如何に重要なものかは素人でもわかります。
つまり、原子炉は冷やさなきゃいけないんでしょう。
その冷やす水、それをしっかりと規定通り流されているのか、確認する為のこの流量計、これが試験をする時に、データが不正に改竄されている。そして未だ交換もしていない。
全部メーカー任せなんですよ。
東芝ですね。
そういう不正が行われて、内部告発によって発覚した。ということであります。
そして、これだけ重要な問題にも関わらず、原子力保安員、なんで厳重注意、これで終わったんですか。
寺坂原子力安全保安員委員長:経緯につきましては、只今、議院ご指摘の通りでございます。
流量計に関しましては、内部告発から始まって、原子力安全保安員のほうにおきまして、精密な検査等々、現データに当たる等の調査をした結果、安全性について問題無いと確認したものでございますけれども、内容に関しましては、今、ご指摘のように、厳重注意ということで、その後再発防止対策、そういったことを求めまして、その実施を確認していると、いうことで確認をしていったものでございます。
森:経産大臣、お聞きしたいんですけれども、こういう重要な不正、これは厳重注意で終わっている。これについていかが思われますか。
海江田経産相:特に、内部告白が有りながら、それを握り潰していたということは大変大きな事柄でごさいますので、もちろん、今、そういう事の無いように、しっかりと指導している所でございますが、そういった厳重注意ということだけでは済まされるものではないと思っております。
森:亡くなられた中川経済産業大臣が、この問題に非常に怒られて、そうとう詳しく厳しく、調べられていたと、しかし中川大臣が代わられて直後に時系列を見ますと、この厳重注意でサラッと終わってる。
何故なのかなという気が致しますし、この制御棒なんですけれども、図を見て頂くとボロボロなんですよね。
事件の報告書には写真もついておりますが、大丈夫なんですか。
制御棒がちゃんと働かないと、緊急停止も出来ないんじゃないんですか。
寺坂:当時制御棒のヒビ割れに関しまして、私共と専門家との間での様々な意見交換の結果、一定数値、要は中性子の照射時間・制御の使用時間これを超えますと、ヒビ割れが発生するという可能性が高いと推定致しまして、従いまして、その一定数値に至るまではともかくといたしまして、それに近づいて超える場合には、制御棒を予め全挿入ということで、完全に挿入した状態で運転するように指示をし、そのように電力会社の方でも対応して来た所でございます。
森:緊急時に、押し込めない訳ですよ。
何故かというと、ヒビが割れていて、めくれていて、突っ掛かって、緊急時に入らないと。
そういうことが書いてあります。
これが原発の現実でございます。
それで、このヒビ割れが確認されて、福島第一原発3号機。何本ヒビ割れが確認されていて、それは交換しましたか。
清水:5本でございます。交換致しております。
森:交換したということですけれども、交換したという報告書、数日前から求めておりますけれども、交換した報告書は何処にあるんですか。
寺坂:報告書そのもの現に見てる訳ではございませんけれども、全て、ボロンカーバイド方式の制御棒に交換したとの報告を受けてございます。
森:何故報告書が無いんでしょうか。
寺坂:失礼致しました。ちょっとあの、報告書、確認させて下さい。
森:報告書、何日も前からお願いしてるんです。
そして返事が来ません。
メールが送られて来ましたけれども、あちこち探しておりますが見当たりませんということでございます。
どうなってるんですか。
東電に伺います。
2010年6月に、つまり、去年の6月でございますけれども、福島第一原発2号機の、「電源喪失・水位低下水位低下事故」についてご報告頂きます。
清水:2010年6月に発生致しました福島第一原発2号機の事故でございます。
経過を申し上げます。
作業員が誤りまして、電源系のリレーに接触して誤動作したことによりまして、発電機が停止する。同時に原子力が停止した。併せて外部電源が喪失されたと、こういう事象でございます。
原子炉の水位につきましては、蒸気で駆動する冷却装置を運転員が起動させまして、適切に確保されております。
また、電源につきましては、非常用のディーゼル発電機が自動的に起動致しております。
その、約30分後になりますが、外部電源の復旧も回復致しまして、その1時間後には通常の電動駆動のポンプへの切り替えも終わり、原子炉に給水していると、こういう経過でございます。
森:30分も動かなかったんですね。
清水:外部電源への切り替えが完了するまで30分かかったということであります。
森:非常用ディーゼル発電機が30分近く動かなかったのではないかという報道もございます。
非常用発電機が作動するまでに何分かかりましたか。 清水:非常用ディーゼルは正常に作動し、その後外部電源に切り替わったと、こういうことでございます。
森:切り替わる迄に30分かかってるんでしょう。
その間、電源が無かったんじゃないんでしょうか。
清水:非常用ディーゼルで、電源が確保されておりました。
森:しかし原子炉内の水位は約2m低下したと、いう報告を受けておりますけれども、どうなっておりましたでしょうか。
清水:一時的に低下しましたが、速やかに復旧してございます。
森:曖昧な表現で、良くわかりません。
何メーター低下して、何分間そういう状態が続いたんでしょうか。
清水:2メーターくらい低下した状態が約30分でございます。
森:今回の事故と同じ様な事故が起きている訳ですよ。
あわや、メルトダウン。そういう状況が起き兼ねない。
2メーター水位が下がって30分それが続いた。
原子力保安員、これは確認してますか。
寺坂:私共と致しましては、先程清水社長がお答えしたラインで、非常用ディーゼル発電機は起動致しましたけれども、電源切り替えに伴う瞬間的な停電が発生した為に、原子炉内での圧力が上昇して給水停止、それから原子炉の水位の低下という事実があったという風に確認をしております。
その為、安全弁が開きまして、原子炉圧力を下げると共に原子炉隔離時冷却計、これが自動起動する前に、手動で起動させまして水位を回復維持をしたと理解をしてございます。
森:清水社長、何故、この事故を契機に外部電源喪失時の対応の再点検、そして、対策を講じなかったのでしょうか。
まさしく今回の地震で起きた、外部電源喪失という事態を、既に昨年の6月に経験しているではありませんか。
清水:只今の事実経過の通り、外部電源が喪失されたということでありますが、運転員の操作により、速やかに復帰が成されたという経過もございます。
一方今回の福島第一原子力発電所の事故は、やはり、大地震によって外部電源が喪失する、更に津波によってディーゼル発電機の機能が喪失してしまったと、このような事象でございます。
結果と致しまして、今回の事態を引き起こしてしまったことについては、深く反省し、大変申し訳なく思っおる所でございます。
今回の福島の第一事故につきましては、これから外部…(聞き取れない)者の方々も含めた事故調査委員会で、調査・検証して参りたいと、この様に考えております。
森:答えになってませんよ。
言わば、今回の地震による、外部電源喪失という事態を既に昨年の6月に経験しているんです。
想定外では済まされないんです。
衆議院のほうで「面積」ということを大きな声でおっしゃった方がいらっしゃるようですけれども、とんでもない話だとわたくしは思います。
外部電源喪失というのは昨年のうちに、既に経験していた事であり、それに対する対策を講じなかった。 これはあくまでも人災ではありませんか。
清水:柏崎刈羽の反省という意味では、中越沖地震の経験も踏まえまして、例えば、対策本部を設けております重要免震塔の設置でありますとか、消防車の設置であるとか、可能性な限りの対策は講じて参りました。
森:外部電源喪失の事態を経験していながら、それに対する対策を講じなかったんです。
総理、まさしくこれは人災ではありませんか。
(以下略)
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言っておくが、これは、遠い過去でも数ヶ月前の話でもなく、あくまでも東日本大震災による福島原発事故後、2011年5月1日の質疑である。
放射性物質を撒き散らし、近隣住民をおびやかすに留まらず、水道水や農作物・水産物を汚染し、世界から、「日本は放射能汚染国だ」というレッテルを貼られるに至った後になってまで、東電も原子力保安委員会・保安員も、反省の色を全く垣間見せず、更に隠し事をしようとし、発覚した事実からまでも責任を逃れようとしているように見受けられる。
今回の事故で「安全でローコスト」は、どうやらデタラメのようであるということに、気づかされた以上、
東電に限らず、原発事業の推進を、今後一切許してはならない。
そして、隠蔽に関わった全ての者を、私達は非難しなければならない。
そして、それらの者は厳罰に処されるべきである。