もう20年近く前の話しだから時効であろう。

当時私は、マリンスポーツを趣味としているマスターの経営するスナックの常連で、そのマスターの友人である、どこかの社長がクルーザーを持っていた。

ある日、
「暇なら今度、一緒に(クルーザーに乗りに)行こう。」
と、マスターから声をかけられた私は、二つ返事で数日後港へ向かった。

「でけぇ~…。」
24人乗りのクルーザーのでかさに驚かされた後、マスターと船主の三人で海へ出て、無料で3時間程のクルージングを満喫。
確か、ベッドが二つ並べられた寝室が二つ、トイレが三ヶ所設けられていたと思う。
操舵室はダイニングとキッチンを兼ねていて広く、十畳以上あり、その上の屋上も同じくらいのスペースになっていた。
そして帰り際、船主の方が
「大勢なら、一人三千円で乗せてあげるよ。
一人で海へ出ても、金が掛かるだけだから。」
と言って下さった。

私は翌日から、会社の仲間や先輩方に声を掛け、クルージングの参加者を募り、20名でクルージングに行くことが決まった。

…そして当日。
確か、会社の寮が集合場所だったと思うが、実は、会社に内緒(厳しい会社で、プライベートでの集団行動時は願書が必要で、提出後却下されていた)での集団行動の決行でああり、寮の駐車場に穴が空き過ぎるのはまずいので、私の(三菱)ジープを含む3台の車で行く
ことになっていたのだ。

あとの2台に3人と4人で7人。
あとの13人は……、勿論、私のジープへ。
そのジープは自衛隊で使われているような、いわゆる国防色で、後ろは幌になっている…7人乗りのものであった。
定員超、超過である。
定員のおよそ倍の人数を乗せると、さすがにアクセルが重く、ブレーキの利きもあまくなる。
おまけに乗員のそれぞれが微妙に体を動かすものだから、車体が思わぬ方に傾いたりして、かなり運転に支障をきたした。
(つい最近、馬を乗せたトラックがコースアウトして横転したニュースをやっていたが、運転手の気持ちが分かるような気がする。)
決して、良い子は真似しないでいただきたい。



そして、クルージングは大成功であった。
夜風にあたりながら、クルーザーでの屋上(?)ビアガーデン。
2時間程のクルージングだったと記憶しているが、皆存分に楽しんで頂けただろうと思っている。




私の知らない間に、
トイレで嘔吐していた、女性数人を除けば……。