私は、幼少の頃から釣りが好きで、川や池でフナやコイ等を釣って遊んでいたのだが、本格的に釣りを始めたのは10年程前のことである。

宮崎はもともと、気候が温暖で、熱帯魚に属するような魚がしばしば見受けられるのだが、去年あたりから、
「見たこともない、綺麗な魚を見掛けるようになった。」
と、漁船に乗って沖へ出る猟師の方から何度か聞かされていた。


今日、久しぶりに釣りを楽しもうと、宮崎市の一番北にある「一ッ瀬川(ひとっせがわ)」の河口へ車を走らせた。


「そろそろグチが釣れ始める頃なんだが。」
と思いながら、釣り餌のゴカイを少し長めに切って針に刺し、竿を振った。

いわゆるブッコミ釣りと言われる釣り方で、鉛の先には、ハリスと針・餌だけというシンプルなものである。

餌を投げて間もなく、10~15秒程だっただろうか。
いきなり大きな当たりがあった。
「チヌなら、30~40cmかな。」
と、下手な皮算用をしながら糸をたぐる。
やがて、赤茶色の魚影が目に映った。
「チヌじゃない…。」
それは見たこともない魚であった。
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一見、コイにも見えるが、目の辺りにベラに似たイナズマのような模様。 そして、一目で肉食魚と判かる鋭い歯。

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帰って父に聞いてみたが、何十年も釣りを続け、釣りで生計を立てられる程の父でさえ知らない魚であった。


これも、温暖化の影響であろうか。






しかし、得体の知れない魚で気味が悪いと思いながらも、とりあえず捌いて、生で食べるところが馬鹿丸出しである。
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身は桜色で柔らかく、少し赤身魚に似た味で美味しかった。